アルジェリアは独立の翌年1963年12月、経済自立のためには海上輸送体制の強化が最も重要な政策であるとして、国有海運会社(Compagnie Nationale Algerienne de Navigation CNAN)を創設した。
CNANが実際に海運活動を開始したのは1967年で、当時の保有船腹は僅か5隻(25,000G/T)に過ぎなかったが、開発計画の推進に伴って船腹量は急速に拡大した。
また、同社の取扱う海上輸送貨物も、一般貨物のほか、原油、LNG、LPG、穀物、砂糖、ワイン、鉱石、その他各種分野に及び、アフリカ第1位の大海運会社に成長した。
その後、アルジェリアにおける国営会社機構の改革により、1982年8月にCNANは改組され、炭化水素(原油、天然ガス、石油化学製品など)を扱う部門が独立する形で分離され、次の2つの公団が設立された。
国営海運公団(Societe Nationale & Transports Maritimesde Compagnie Nationale Algerienne de Navigation,“SNTM-CNAN")
国営炭化水素化学製品輸送公団(Societe Nationale de Transports Maritimes des Hydrocarbures et des Produits Chimiques,“SNTM-HYPROC")
次いで87年7月SNTM-CNANから国営旅客輸送公団(Enterprise nationale de Transport Maritimes de Voyageus,“ENTMV")が独立し、更に同年SNTM-HYPROCから国営炭化水素輸送販売公団(Societe Nationale de Transport et de C?merce des Hydrocarbu,“SONATRACH")が独立設置された。
1993年における海上荷動き量は、輸出入合わせて8,123万トンで、うち輸出が6,569万トンと全体の80.9%を占めている。
輸出量の殆どをハイドロカーボンが占めており、船種別にみるとタンカーが98%を占めている。
一方、輸入量1,553万トンのうち、食料品の占める割合が最も大きく52%を占めている。
その他の輸入品目については化学製品、石油製品、鉄鋼材、建築材、鉱石などであるが、化学製品を除いていずれも減少傾向にある。
輸入の海上輸送量を船種別にみると、一般貨物船が40.8%(682万トン)を占め、バルカーが38.5%(595万トン)、タンカーが20.9%(323万トン)を占めている。
ハイドロカーボンの貿易量は主要港であるアルズー港、スキクダ港、ベジャイナ港が大半を占めている。ハイドロカーボン以外の貿易貨物は主にアルジェ港、アンナバ港、オラン港で取り扱われている。
海上貿易相手国は、西ヨーロッパ、北アメリカが中心で、輸入相手国の71%、輸出相手国の77%を占めている。
また、イタリアの海運会社I-Messina、Siosa Grandi Targhettiの2社とアルジェリアのSNTM-CNAN社は1990年からこの二国間の海運の90%近くを輸送しているが、1991年にはコンテナ船による海上輸送に合意し、イタリアの地方港とアルジェリアの主要港(アルジェ、オラン、スキクダ)をより密接に結ぶ新規航路が開始されている。
旅客船においては、アルジェリアの政治不安を理由に地中海フェリーを経営するフランスのSociete Nationale Maritime Corse Medititerranee社は、アルジェーマルセイユ間の乗船者数の減少を危倶している。
一方、アルジェリアの国営海上旅客輸送公社(ENTMV)は、1994年にスペインとの間でカーフェリーサービスを新規開発する計画を打ち出している。