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?-3 ベトナム修繕船産業の発展性

 この地域に存在する修繕船能力はかなり大きいので、ベトナム修繕船産業の発展性について結論をいえば、今後新設されるヤードは、主として国内の海上輸送と南シナ海航路に配備された船舶に的を絞るべきである。さらに、ベトナム修繕船産業が国際的地位を確保するまでに成長するには、作業の質、効率と強力なインフラが不可欠であるといえる。
前述のように、1999年初現在、ベトナムでは下記の合弁ヤード3社が修繕船市場に参入していることになる。

・アジア・スター造船所は、大型の内航船と南シナ海就航船(10,000〜15,000DWT)を対象としている。

・ケッペル・バソン造船所は石油・ガス事業用船舶と比較的大型の通常船舶(15,000DWT以下)を対象としている。

・現代ヴィナシン造船所は、はるかに大型の船舶(400,000DWT)を対象としている。

 

? まとめ

 アジアの金融危機によりベトナム経済は深刻な影響を蒙っている。ベトナムの海運各社は投資計画の縮小を余儀なくされた。一部の船社は新造をあきらめて中古船の購入を狙っている。ベトナム国営海運(ヴィナラインズ)のような大規模国有船社―ヴィナシンの顧客の中で最大級の船社―とて例外ではない。そのため1997-98年のヴィナシンの新規受注に問題が生じている。
 一部の主要造船国の通貨切下げも、新造船市場における競争を一層激化させている。
ベトナムの通貨ドン(VND)の対ドル・レートが下がったため、国内で生産されていない舶用機器の価格が上昇し、国内船主の負担がそれだけ重くなっている。船主が既存の契約を解消した事例もある。税関、国税局、海運局など政府機関からの受注も、政府の予算削減により先送りが避けられない。
 1997-98年は新造、修繕両面でベトナム造船産業にとって苦難の年となった。
現在、ベトナム造船業では、ベトナム造船産業公社(ヴィナシン)を筆頭とする、企業グループへの統合が進んでいる(艦艇建造所は例外、添付資料参照)。
 造船業界としては、国内市場、国際市場両面において、「造船需要曲線」が上向きになる、次のチャンスを忍耐強く待つ覚悟が必要である。
 次の機会と挑戦に向けてベトナムの事業者と協力の意向があるパートナーに対し、わが国の門戸は常に開かれている。

 

 

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