? SBSR産業開発関係民間団体/協会等
?-1 フィリピン造船工業会(PHILSAR)
フィリピン造船工業会(PHILSAR)は、フィリピンにおけるSBSR産業の成長と発展を促進するために、フィリピンの造船・修繕船事業者により結成された団体である。この団体は、特定の分野での企業間の協力協定を作り上げるのための協調の精神を醸成し、全会員が関心を抱くような、価値ある重要な海事産業関連情報を整理、伝達するための常設事務局を設置、運営できるよう、会員間の意見交換のフォーラムとして機能している。また、わが国とその国民のために先進的なSBSR産業を確立することを目的として、フィリピン政府の関係省庁、一般国民、その他各方面の関係先に会員の共通の立場を説明、主張する媒体となり、さらには他の世界各国の同種団体との円滑な協力関係を推進することも、フィリピン造工の使命である。
?-2 フィリピン造船技師・舶用機関技師協会(PANAME)
フィリピン造船技師・舶用機関技師協会(PANAME)は、フィリピンの造船技術者の団体で、専門職としての水準と尊厳を維持する一方、現代のニーズに合うようにSBSR技術の動向を近代化するための制度と手法の整備を、その結成の目的としている。この協会はまた、海上における人命と財産の安全性の向上と海洋環境の保護のための、現実的な基準の策定について調査、研究を行う。PANAMEの目標は、政府および海事産業全般と緊密名調整を図りながら、海洋安全訓練計画を策定することにより、海運業界の海上安全意識を高揚させることにある。
?-3 フィリピン船級協会(PRS)
フィリピン船級協会(PRS)は、船級付与を目的として、非自航バージを含む全種類の船舶、舶用機器の設計、建造、検査についての規則と規格の設定、開発、更新、管理に従事する。PRSは、船級協会に通常求められる業務、すなわちPRS船級取得船舶の定期検査、特別検査の実施と証明書の発行、証明書の有効期限確認、その他フィリピン政府および/または外国政府が認可した法定海事関係業務を行う。
? 業界が直面する問題/課題/制約要因
国内船主の中古船輸入志向を主因とする国内建造需要の低迷と金融の逼迫、その他財政面の優遇措置の不在。新造船需要の低迷状況は、過去数年間変わっていない。新造船活動は、内航用の単純な船種の小型船だけに限られている。人件費が比較的低いにもかかわらず、国内建造船は輸入中古船より価格が高い。こういう事情からは、船主の選択は中古船の輸入に傾く。それは中古船を輸入する方がリスクが小さく、資本投下額も少ないので、国内建造船を購入するより魅力的なためである。同時に、MARINAが定めた要件をすべて満たせば、すぐに営業運航を開始できる。さらに、特に新造船のコストと品質について、世界市場における国内造船事業者の競争力の水準には、顕著な改善が見られないように思われる。
新造船部門の要求に対応できるような関連産業の未発達。造船所は、少なくとも自社使用の資機材の供給については、交換部品メーカーに依存している。発達した先進的関連産業の不在がSBSR産業の成長を妨げている。フィリピンに十分に発達した関連産業があれば、SBSR産業が使用する高価な構成部品は、国内生産が可能になる。国内生産を振興すれば、適正な品質と妥当な価格で国内造船所の要請に応えられるような資材や交換部品の国内調達が確保されるほかに、構成部品の直接費という面でも造船所に有利に働くことになる。しかし、造船所用資機材の国内生産振興で利益を得るのは造船産業だけではない。それは国内鉄鋼業の生産拡大にもつながり、鋼材輸入の減少にもつながる。
旧式で陳腐化した設備と、適格な熟練労働力の欠如が、国内造船所の生産性の向上を妨げている。国内では得られないような高給を提供する外国労働市場の魅力に造船労働者が引かれる結果、一層深刻化する適格な労働力の流出のために生じる、労働移動率の上昇が、多数の国内造船所を悩ませている。しかも、高給を払えないような造船所は通常、自社従業員の訓練に無関心な造船所でもある。これらの造船所では、訓練用の機器、設備、教官、訓練指導員が不足し、訓練を充実させるインセンティブもない。造船所の生産性向上を妨げるその他の要因としては、一部の造船所に見られる劣悪で不健康な労働慣行や条件、そして不潔な環境である。また、経済活動に季節的変動があるので、雇用の永続性もなく、契約が一旦満了すれば、労働者は一時的に解雇される。さらに、国内造船所の設備、機器は旧式で陳腐化しているが、この悪条件は小型造船所で一層いちじるしい。しかし、外国資本との合弁造船所では、設備と既存技術の改善が可能なことが注目されている。