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2.3 沿岸域環境保全リスク情報マップに関する実用面での検討

  2.3.1 調査概要

 既に述べたように、1993年(平成5年)、当協会では海洋汚染防止に関する調査研究事業の一環として、センシティビティ・マップについての基礎調査を実施し、わが国の実情に即した形で早急にその整備・普及を進めてゆく必要がある旨の提言を行うとともに、作成方法に関するガイドラインを策定するに至った。
 その後も当協会では、日本財団の支援を受け、運輸省及び海上保安庁等の関係官庁並びに関係団体の指導・協力のもと、同情報図の実用面での検討を進めるため、平成7年度から3ヶ年計画で、わが国の主要沿岸域を対象とした試作事業を実施した。
 即ち、平成7年度は東京湾、平成8年度は伊勢湾、平成10年度は大阪湾を対象として、それぞれ沿岸域の自然環境及び社会的・経済的利用状況などに関する情報を収集し、試作図を作成した。
 さらに、試作したこれらの情報図に対する関係利用者の意見を広く聴取し、今後の事業に反映させるなどの目的のもと、各年度ごとにワークショップを開催し、同情報図のなお一層有効な整備・普及方法のあり方についての検討を進めた。
 また、基礎調査の段階で一部の有識者より指摘があった、センシティビティ・マップの電子図化については、平成7年度に米国における現地調査を実施し、平成8年度にはこの現地調査などをもとに、利便性に関する考察などを含めた検討を実施した。
 本年度以降の事業は、こうして当協会が蓄積した知見等を生かし、ナホトカ号による大規模な海洋汚染被害を受けた日本海沿岸域を対象として、係る情報図を実用に供する形で段階的に整備するものである。即ち、日本海沿岸域を北部、中部及び南部に分け、本年度については中部沿岸域を対象とした実用図の整備を行った。
 本事業は国内の流出油防除体制の強化に資することはもとより、今後構築される環日本海沿岸国による流出油防除に係る地域国際協力体制も視野に入れた上で、日本海の海洋環境保全に積極的に協力することを目的としている。

 2.3.2 本年度調査の経過

平成10年
4月 6日  「日本海中部沿岸域環境保全リスク情報マップ」作成に必要な基礎データの収集に関する業務委託契約を、社団法人 日本海事検定協会横浜支部と結び、情報収集活動を開始した。
6月 26日 運輸省及び海上保安庁の担当官並びに油防除の専門家などを集め、情報収集活動を適正かつ円滑に進めるに当たっての意見交換会を実施した。
9月 30日   情報収集活動が完了し、収集したデータの整理・分類作業、情報図及び付録のデータブック原案の作成作業に着手した。
10月 1日 内外地図株式会社と「日本海中部沿岸域環境保全リスク情報マップ」及び付録のデータブックの印刷・製本についての業務委託契約を結んだ。
12月 18日 情報図及び付録データブックの原案が完成し、第1回校正を行った。
平成11年
1月 22日 情報図及び付録データブックの第2回校正を行った。
2月 10日 情報図及び付録のデータブックの第3回校正を行った。
2月 26日  情報図及び付録のデータブックの印刷・製本が完了した。
3月 5日 関係官庁及び関係地方自治体の担当官並びに北陸地方の防災関係者などを対象とした「日本海中部沿岸域環境保全リスク情報マップワークショップ」を開催し、完成した情報図に対する意見・要望を広く集めた。

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