この人と/城? 賢


海上保安庁
東京湾海上交通
センター所長
城? 賢
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<プロフィル>
昭和15年生まれ
昭和36年海上保安学校卒業
航路標識測定船つしま測定長
名古屋海上交通センター所長
大阪湾海上交通センター所長等を経て
平成10年4月から現職
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― 東京湾海上交通センターの概要を聞かせて下さい。
城? 東京湾海上交通センターの役割は、東京湾を航行する船舶の安全を確保することです。
そのために東京湾を航行する船舶に対し、高性能レーダーを設置している観占埼等東京湾内4カ所のレーダー施設、伊豆大島および東京湾内合わせて6カ所の気象観測個所、海上保安部署等から得た船舶の航行の安全上必要な諸々の情報を提供する航行援助業務と、浦賀水道航路および中ノ瀬航路に入航する年間3万隻の巨大船、長大物件曳航船、危険物積載船および1万トン以上の船舶に対する航路管制の業務を行っています。
東京湾には、巨大船等の対象船舶以外にも多くの船舶が航行しており、これらの船舶にも情報を提供したい場合がありますが、VHF電話16CHに応答がないことがあります。
情報を早く伝達するためにもVHF電話16CHを装備している船舶は、東京湾内を航行中は、VHF電話16CHを常時聴取していただきたいですね。
― このたび中ノ瀬西側海域に整流用の灯浮標が新設されることになりましたが。
城? 灯浮標は、操船者の口に直接訴える物標ですので、これにより、南航、北航の分離線の把握が容易となり、より一層、整流が図られるものと期待できます。
当センターでは、レーダー画面上にこの分離線を表示し、航行経路を外れている船舶に対して注意喚起を行うこととしています。
また、灯浮標の機能が損なわれますと危険ですので、航行船舶には接近し過ぎて灯浮標に衝突しないよう注意して航行するようお願いします。
― センターは航路標識業務の、1つという理解でよいですが。
城? 海上交通センターは、情報提供と航路管制を併せ行うシステムで、航路標識業務と航行安全業務の2本柱で成り立っています。
その中で、当海上交通センターは、観音埼船舶通航信号所という航路標識名を持っており、情報提供の分野が航路標識業務の一つとなっております。
海上保安庁が運用する6カ所の海上交通センターのうち、一番最初に運用を開始したのが当海上交通センターで、この2月25日で丁度22年が経過することになります。
現在の世の中は、あらゆるものにコンピューターが利用されていますが、レーダー映像をコンピューター処理したということで新しい船舶通航信号所といえましょう。
昭和30年代末期には、釧路港、大阪港にレーダー映像を使って業務を行う船舶通航信号所(ハーバーレーダー)が整備されましたが、当時はコンピューター画像処理は行っていませんでした。
また、古くは明治40年代に関門海峡や瀬戸内海で人の目視によって業務を行う船舶通航信号所が生まれております。
― 海上交通センターの将来について聞かせて下さい。
城? 近い将来については、テレビカメラの整備とか、機器のリプレイスで新しい海上交通センターと同じカラー化された今より大きな、曲面で見やすい運用卓になるといったことがあります。
中長期的には、国際的な標準化が検討されている船舶自動識別システム(AIS)の実用化が予想されます。
(平成11年2月4日、東京湾海上交通センターで、聞き手=村上)