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  心新たに諸活動を
社団法人 日本海難防止協会 会長 寺井 久美

平成11年の新春を迎えるにあたり謹んでご挨拶を申し上げます。
 本協会にとって、昨年は創立40周年を迎えた記念すべき年でしたが、世の中全般をみますと、国民の期待に応えない何か暗い1年だったと思います。
 まず、政府の打ち出す経済諸政策の効き目は薄く、長銀に代表されるように金融不安も手伝って、一向に景気回復がみられないまま年を越しました。
 また、異常気象の影響から各地における水害等で農作物の被害が多発し、農家の被害はもちろんのこと、農作物の高騰で市民の台所にも大きい影響をもたらしました。
 さらには、和歌山における砒素入りカレー事件のような陰湿な事件の発生、各地への飛び火が人々を不安に陥れました。
 新年を迎えるにあたり、今年こそは景気が好転し明るいニュースの多い年であって欲しいと願うものであります。
 さて、海に目を向けますと、一昨年のナホトカ号、ダイヤモンドグレース号のような大規模海難・汚染災害が発生しなかったことが救いでした。
 しかし、昨年の海難は、平成9年の海難の減少に比べ増加の様子がみられるとのことであり、また、プレジャーボート等(遊漁船を含む)の海難は2年連続ワーストワンのようです。
 また、外国船の海難が多発し、前記2事例ほどの大海難ではないにしても外国船の乗揚げ事故による油の流出も依然として散見されています。
 私どもは、このような海難の増加、プレジャーボート等および外国船の海難多発を大変憂慮しているところです。
 海上保安庁では、この点を重視し、外国船舶の安全対策の強化、プレジャーボート等の安全対策に力点を置いた取組を打ち出しておりますが、本協会といたしましても当面の焦点をそれらに当てた取組が重要と考えています。
 海難防止と海洋汚染防止の活動は地味ではありますが、われわれの願いであります「きれいで安全な海」の実現にはたゆまない継続した活動が不可欠であります。
 年頭にあたり、職員一同心を新たにして、海難防止と海洋汚染防止の活動に取り組んでまいる所存ですので、船舶乗組員、関係団体、関係業界のみなさまの一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。各船のご安航とみなさまのご健勝をお祈り申し上げます。




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