
あいさつする寺井会長
会長あいさつ
「日本海難防止協会は、来る8月1日をもって創立40周年を迎えます。
当協会は、海難を防止するために運輸省はじめ関係官庁並びに海運、造船、水産、港湾、気象、保険に関係のある各種の団体および企業のご協力によって昭和33年8月1日に設立されました。
海難防止については、施策が広範多岐にわたることや、対策の実施について関係各方面の協調を必要とすることから、一層効果的に対処するためには、関係者全員が施策を総合的、系統的に研究実施していく必要があります。
このような見地から、当時の海上航行安全審議会の答申に基づき運輸省が中心になって、関係機関と緊密な連携をとりながら懸命の努力をされ、海難防止に関する事項の調査研究および周知宣伝を実施する組織を整備する運びとなりました。
以来40年、わが国経済は大きく発展し、また技術革新進展は航行船舶の多様化、大型化、高速化をもたらし、海上交通の様相を一層複雑なものものとしております。加えて船舶の輻輳する海域では、港湾の整備をはじめ架橋工事や海上空港等の大規模プロジェクト工事が行われるという状況にあります。
当協会としては、昭和47年から新たに海洋汚染防止事業を開始し、昭和58年にロンドン連絡事務所を、また平成8年には、シンガポール連絡事務所を開設しました。
さらに、事業の専門化、高度化、国際化の進展に対応して着実に業務執行体制を充実強化して参りました。
とくに、運輸省、海上保安庁等関係ご当局の絶大なるご支援とご指導および日本財団、日本海事財団、日本船主協会および日本損害保険協会はじめ関係各団体の物心両面にわたる多大のご支援と、会員各海運会社から直接業務を担当する職員を派遣いただく等のご協力があってこそ、今日の発展を見るに至ったと申しても過言ではありません。
ここに改めて衷心より感謝の意を表する次第です。
ところで、今年に入って、映画「タイタニック」が大変な人気で全国各地でロングランが続いているようですが、タイタニック号の海難は、まさに近代の海難史に残る最も悲惨なできごとでありました。
この事故を契機に世界における遭難通信体制が確立され、われわれに馴染み深いSOSという遭難信号もGMDSSの導入によって役割を終えようとしています。
私は、この映画が多くの人々に海難について考えていただけるきっかけとなればありがたいと思っています。
間もなく「海」のシーズンを迎えます。海を利用するみなさまにとって、事故のない楽しい、そして美しい「海」となりますよう願っている次第です。
この意義深い創立40周年を契機に初心に返り、真に実りある成果をあげ得るよう、課せられた使命の達成に邁進する決意でありますので、どうぞ皆さまにおかれましても今後一層のお力添えをお願い申しあげます。
(創立40周年記念祝賀会での寺井会長あいさつ)
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