
総会あいさつ
行政の力強い パートナーとして期待
運輸省運輸政策局長 土井勝二
社団法人日本海難防止協会の平成10年度通常総会にあたり、一言ごあいさつ申しあげます。
貴協会は、船舶の航行安全の確保や海洋汚染の防止に関する事業に大きな成果をあげてこられ、本年で創立40周年を迎えられました。ここに敬意を表するとともにお喜び申しあげます。
皆様ご承知のとおり昨年は相次ぐタンカー事故が発生し、改めて海洋汚染の防止や航行安全の確保に対する取り組みの重要性を認識されたところです。
1月のナホトカ号事故では再発防止対策を検討するため、貴協会には、日本海におけるタンカーの航行実態を把握するため緊急に調査検討を行っていただいております。
7月の東京湾におけるダイヤモンドグレース号事故では、これに対応して、東京湾の航行安全対策について検討していただいております。この検討結果は運輸省の安全対策に広く活用されはじめています。
さらに、9月のシンガポール沖でのタンカーの衝突油流出事故では、貴協会のシンガポール連絡事務所は入手した事故情報を迅速に提供するとともに、日本国政府の国際緊急援助隊の活動を支援するなどの功績を挙げられたところであります。このシンガポール連絡事務所は、原油タンカーの主要ルートであるマラッカ・シンガポール海峡の航行安全と海洋汚染防止のために平成8年に開設したものであり、まさに時宜を得たものでありました。
このように油流出事故に的確に対応していただいたのは、貴協会がこれまでの事業で積み重ねてこられた豊富な知識と経験の賜物であると考えます。
また、ナホトカ号事故でも明らかになったように油防除については、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)に基づき、環日本海地域諸国の協力体制を強化することがますます重要になってきております。
そのような背景の下に、昨年7月には、貴協会は運輸省と共同でNOWPAPの「海洋汚染に係る準備および対応に関するフォーラム会議」を開催され、さらに本年9月には、同専門家会合を開催されることとなっています。このような海洋汚染防止の国際的な取り組みは、今後ますます貴協会の重要な役割となってくるものと思います。
今後とも貴協会は、行政の力強いパートナーとして、航行安全の確保、海洋汚染の防止に精力的に取り組まれるとともに、近隣諸国との協力体制の構築にも鋭意取り組んで行かれることを期待して、私のあいさつとさせていただきます。
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