日本財団 図書館


日海防の主な事業

―平成9年度調査研究事業の概要―

 (社)日本海難防止協会では、海上の安全確保及び海洋環境の保全に寄与することを目的に、海難防止及び船舶等による海洋汚染防止に関する?周知宣伝、?調査研究、?資料・統計等の収集と整理、?出版物の刊行、?国際会議への参加―などの事業を行っている。
 これら事業の運営資金は、会費のほかにその大部分が(財)日本財団および日本海事財団からの特段の援助によって交付された事業補助金・事業助成金および管理助成金によってまかなわれている。

日本財団の補助事業

海事の国際的動向に関する調査研究

(海難防止関係)

目的

 海上交通は、その交通可能区域すなわち海洋が全世界に接続されていることから、全世界的な状況を把握したうえで検討を行う必要がある。その全世界的な状況の動向はすべてロンドンにあるIMO(国際海事機関)において決定される。このため、海上交通の安全確保・海難防止に関してはIMOの動向に注目して、これらを斟酌(しんしゃく)する必要がある。
 現在、IMOにおいては数々の委員会・小委員会が開催されているが、この中で最も海上交通の安全確保・海難防止関連があるMSC(海上安全委員会)、NAV(航行安全小委員会)、COMSAR(無線通信・捜索救助小委員会)等に対して、積極的に参画を図り、海難防止関連事項を中心に各国の動向を調査するとともに、当協会ロンドン連絡事務所からIMO関連会議に調査員を派遣し、調査員はアドバイザーとしてわが国代表を補佐するとともに、わが国の適切な対策の立案に寄与し、海上安全の推進に資することを目的として実施した。

調査項目および内容

(1) SOLAS条約の改正、VDR(船舶用航海記録装置)性能基準策定
 バルト海で発生したエストニア沈没事故に関連したRo‐Ro船に関する規則の強化および重大海難の究明を目的としている。
(2) 海賊および船舶に対する武装強奪に関する対策
 世界で多発している海賊事件に関して、IMOと海賊事件多発国が協力し、改善を協議する。
(3) 航路指定および船舶通報制度
 全世界の数カ所において航路指定および船舶通報制度が検討されているが、特にマラッカ・シンガポール海峡沿岸3カ国が共同提案したマ・シ海峡分離通航方式および船舶通報制度は、わが国の海運に密接な関係を持っており、わが国が航行援助施設の設置に協力してきた経緯もあり、注目していく必要がある。
(4) AIS(自動船舶識別装置)の性能基準策定
 相手船舶の針路・速力・船名等を、自船のレーダーに表示させるシステムで、相手船がデータを送信し、自船がそのデータを受信するとともにレーダー上で表示させるシステム。VTSに対しても有効であり、現在VHF等によって行われている位置通報が簡素化され、かつ正確さが増すものとされている。
(5) 群島航路帯
 国連海洋法条約によって定義されている標記に関しては、その解釈・運用等に関する議論がなされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION