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(8) 国際海洋汚染防止証書(法17の9)
 検査対象船舶のうち国際航海に従事するものは、(2)(1)に掲げる区分に従い条約の規定に基づく条約証書の交付を受けていなければ船舶は国際航海に従事することができない。
 この条約証書は、油の排出防止に関する設備等及び油濁防止緊急措置手引書に係る「国際油汚染防止証書(IOPP証書)」及び有害液体物質の排出防止に関する設備等に係る「ばら積みの有害液体物質の運送のための国際汚染防止証書(NLS証書)」であり、本法においては国際海洋汚染防止証書として規定されている。
 従って、国際航海に従事する船舶(SOLAS条約上は、漁船が適用除外とされているので、船舶安全法上条約証書の交付を受ける必要のない漁船であっても、MARPOL73/78条約上は適用があるので、検査対象船舶である漁船は条約証書の交付を受けなければならない。)は、地方運輸局に国際海洋汚染防止証書の交付申請をして証書の交付を受けることとなる。
 国際海洋汚染防止証書の有効期間は、海洋汚染防止証書の有効期間の満了日までとなっている。国際海洋汚染防止証書の有効期間についても、海洋汚染防止証書と同様の有効期間の延長が認められており、海洋汚染防止証書の有効期間を延長する際に合わせて延長することができる。


(9) 検査対象船舶の航行(法17の10)
(1) 有効な海洋汚染防止証書(有効期間が満了しておらず、かつ、効力が停止されていないもの)又は有効な臨時海洋汚染防止証書(有効期間が満了していないもの)の交付を受けていない検査対象船舶を航行の用に供してはならない。(法定検査等のために行う試運転を除く。)

(2) 有効な国際海洋汚染防止証書(有効期間か満了しておらず、かつ、効力が停止されていないもの)の交付を受けていない検査対象船舶を国際航海に従事させてはならない。

(3) 検査対象船舶を、証書に記載した条件に違反して航行の用に供してはならない。(法定検査等のために行う試運転を除く。)


(10) 海洋汚染防止証書等の備置き(法17の11)
 海洋汚染防止証書、臨時海洋汚染防止証書若しくは国際海洋汚染防止証書又は海洋汚染防止検査手帳の交付を受けた検査対象船舶の船舶所有者は、当該検査対象船舶内にこれらの証書又は手帳を備え置かなければならない。

(11) 船級協会の検査(法17の12)
(1) 船級登録業務を行っている公益法人は、海洋汚染防止設備等及び油濁防止緊急措置手引書について検査を行う法人(船級協会)として認定を受けることができる。
(2) 船級協会の検査を受け、かつ、船級の登録を受けた検査対象船舶は、当該船級を有する間は、運輸大臣の検査を受け、技術基準に適合していると認められたものとみなされる。
(3) 船級協会の監督について船舶安全法第8条第2項及び第24条ノ2の規定を、船級協会の役員又は職員について同法第23条及び第24条の規定を準用することとしている。


(12) 再検査(法17の13)
(1) 本条の再検査は、行政不服審査法の特例であり、その特例となる措置は、次のとおりである。

(イ) 不服申立ての期間が30日以内であること。
(ロ) 不服申立てがあった場合に、原処分について上級行政庁が審査するのではなく、検査を新たに執行し直すこと。
(ハ) 再検査を受けない限り行政事件訴訟の訴えができないこと(不服申立て前置主義)
(二) 訴訟においては、原処分たる検査ではなく再検査についてのみ審査できること(裁決主義)

(2) このような措置をとることとした理由は次のとおりである。

(イ) 本件の検査で、毎年大量集中的に反復継続して行われるものであるので、できるだけ速やかに争訟を確定させることが望ましいこと。

(ロ) 本件の検査は専門技術的な性質を有する処分であるので、検査の後直ちに訴訟の提起を認めるよりは、専門技術的な知識・技能を有する行政庁の側で、再度検査を行い、正確な検査・検定結果を早期に示す方が国民の権利救済に資することとなり、また、事実関係等に関する争点が整理され明確化することにより裁判所の審理も容易になること。

(ハ)再検査には本来の処分としての性格が存するため再検査後に最初の検査検定を負わせるのは、無意味であること。

(3) なお、同様の理由から型式承認制度に係る検定についても再検定制度を設けた(法第17条の15において準用する船舶安全法第6条ノ4、同法第11条)。

 

 

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