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(3) 有害液体汚染防止規程
 有害液体汚染防止規程とは、有害液体汚染防止管理者の業務に関する事項及び有害液体物質の取扱いに関する作業要領その他有害液体物質の不適正な排出の防止に関する事項を定めるもので、具体的には次のような項目がある。(規則12の2の7)

(イ) 有害液体汚染防止管理者の選任及び解任の手続、職務並びに権限に関する事項
(ロ) 有害液体汚染防止規程の変更の際の手続に関する事項
(ハ) 次の場合において有害液体物質の不適正な排出の防止のためにとるべき措置に関する事項

 (i) 貨物の積込み、積替え及び取卸し
 (ii) 貨物艙の通風洗浄
 (iii) 貨物艙の事前処理
 (vi) 貨物艙への水バラストの積込み及び当該貨物艙からの水バラストの排出又は処分
 (v) 貨物艙の洗浄((ii)及び(?)に掲げるものを除く。)及び当該貨物艙又は洗浄水を移し入れたタンクからの洗浄水の排出又は処分
 (vi) 事故その他の理由による例外的な有害液体物質の排出

(二) 有害液体物質排出防止設備その他の有害液体物質の不適正な排出の防止のための機器の取扱い、点検及び整備に関する事項

(ホ) 有害液体物質記録簿への記載、有害液体物質記録簿の保管その他の有害液体物質記録簿に関する事項

(へ) 事故その他の理由により大量の有害液体物質が排出し、又は排出するおそれがある場合における関係行政機関その他の関係者との連絡に関する事項

(ト) 廃有害液体物質等処理施設の利用に関する事項

(チ) 有害液体物質の不適正な排出の防止のため船員の遵守すべき事項の周知及び教育に関する事項
船舶所有者は、有害液体物質の取扱いに関する作業を行う乗組員や乗組員以外の者が常時有害液体汚染防止規程に接することができるように、当該規程を船舶内へ備え置き又は掲示しておかなければならない。また、有害液体汚染防止管理者は、有害液体汚染防止規程に定められた上記事項を乗組員その他の者に周知させなければならない。


(5) 有害液体物質記録簿(法9の5)
 有害液体物質記録簿は、有害液体物質の取扱いに関する作業を記録するための一種の帳簿であり、有害液体物質の取扱いに関する作業を逐一記録させることにより有害液体物質の排出が適正に行われるよう作業者に細心の注意を喚起させることを主な目的としている。また、作業が適正に行われたか否かを後日確認するための重要な資料ともなる。このような観点から、すべての有害液体物質を輸送する船舶の船長に対して有害液体物質記録簿の船舶内への備え付けを義務付けている。ただし、引かれ船等にあっては船長と認められる者が乗り込んでおらず、かつ、船舶内を設置場所にすると紛失のおそれもあることから引かれ船等の所有者がその事務所に備え付けなければならないこととなっている。
 なお、有害液体物質記録簿の保存期間は、油記録簿と同様3年間である。有害液体物質記録簿へ記載する場合の注意事項は次のとおりである。

(1) 有害液体物質記録簿への記載は、規則第1号の4の4様式の備考の表に掲げる作業を行った場合に、該当する符号を記入し、さらに作業の詳細について時系列に該当する番号及び必要な詳細事項を記載しなければならない。

(2) 完了した作業については、速やかに当該作業の責任者(有害液体汚染防止管理者の選任されている船舶にあっては有害液体汚染防止管理者、その他の船舶にあっては船長をいう。以下同じ。)が日付を付して署名しなければならない。また、記載が完了したページには、速やかに有害液体汚染防止管理者(有害液体汚染防止管理者が選任されている船舶に限る。)及び船長が署名しなければならない。

(3) 備考の表に掲げる作業以外の作業であって、当該作業の責任者により記録が必要と判断された事項については、符号(K)を記入したうえで、詳細事項を記載しなければならない。

(4) 有害液体物質記録簿への記載は、容易に消せない筆記用具(万年筆、ボールペン等は可、鉛筆は不可)により記載し、誤って記載した場合には誤記内容が確認できるよう1本の棒線により抹消し、当該作業の責任者が署名したうえで正しい記載を追加しなければならない。

(5) 有害液体物質の取扱いに関する作業が受入施設を利用して行われた場合は、その都度、当該利用に関する事実を証する書類(記載事項(i)沿岸受入施設への移し入れ日、(ii)移し入れ作業の行われた場所、(iii)移し入れた廃有害液体物質の名称及び分類、(iv)移し入れ量)を有害液体物質記録簿に添付しなければならない。

(6) 油記録簿と同様に国際海洋汚染防止証書を受有する船舶については、日本語に加え英語又はフランス語により記載しなければならない。

 

 

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