(4) 排出源別
排出源別にみると第3図に示すとおり、油による汚染では、船舶からのものが293件で全体の約72%を占めている。このほか、陸上からのもの8件、約2%、排出源不明のもの104件、約26%となっているが、排出源不明のもののほとんどが、その発見場所や浮流状態からみて船舶から排出されたものと推定でき、海洋汚染の大半は、油によるものであると同時に船舶に起因しているといえる。
また油以外による汚染においても、船舶からのものが大半で131件、約52%を占めている。船舶からの汚染を、船舶の種類別にみると、タンカーが最も多く133件で約31%、次いで貨物船126件、約30%、漁船96件、約23%、その他の船舶69件、約14%となっており、また、この内外国船からの汚染は、83件で船舶からのものの約20%を占めている。
第3図 海洋汚染の排出源別発生確認件数(平成8年)
油による汚染 油以外のものによる汚染
(5) 原因別
排出源の判明しているものについては、原因別にみると第4図に示すとおり油による汚染では、故意によるものが最も多く100件、約33%、次いで燃料補給作業等におけるバルブ操作の誤り等、機器取扱い不注意(過失)によるもの97件、約32%、海難によるもの68件、約23%、タンク等の破損によるもの16件、約5%となっている。
また、油以外による汚染では、故意によるものがほとんどで233件、約93%を占めている。
故意によるものについては、船舶が、船底に溜ったビルジを油水分離器を通さずビルジポンプを使用して直接船外に排出していた事例等悪質なものも依然として後を絶たない状況にあり、一方、取扱不注意(過失)によるものは、油による汚染の約3割を占めている。このため海上保安庁は、6月5日の「環境の日」及び11月1日を初日とする1週間を「海洋環境保全推進週間として、集中的な指導を展開するとともに、引続く10日間に「海上環境事犯全国一斉取締り」を実施するなど海洋環境の保全を図っているところである。
第4図 海洋汚染の原因別発生確認件数 (排出源判明のものに限る。) (平成9年)
油による汚染 油以外のものによる汚染