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(6) 第69回海上安全委員会の対処方針に関し、まず、海上保安庁航行安全課担当者より資料(IR(98)1-4)に基づいて説明が行われ、次の質疑応答が行われた。

○ SIGTTO及びINTERTANKO提出文書(MSC69/5/9)中、通航規則8(c)で、「前記区間を航行する船舶は、減速・変針を必要とする行為をしない旨規定」とあるが、これはどういう意味か。例えば漁船が操業していた場合でも変針できないのか、また、規則中に「できるだけ」等の文言はないのか。

△ 提出文書にはそこまで詳しく書いていない。この規則は勧告ベースであり、完全な義務付けではない。また、航行中に漁船等が入り込んだ場合や緊急事態が発生した場合にも、そのまま進行しなさいという訳ではない。

○ オランダ、IAIN及びIFSMA提出文書(MSC69/20/11)によると、次回MSCでは高速船の定義についても検討されると思う。本件については昨年の本委員会でも話が出たものである。海上衝突予防法では高速船は定義されていないが、海上保安庁では特別な灯火を用いるよう指導している船舶があり、それは確か3.7掛ける排水量の0.1667乗であったと思うが、これによると船が小さく、例えば船が100トンくらいだと17、8ノットでも高速船になってしまう。しかしながら、船の実際の操船では、船の大小には関係なく一定の速力以上の船舶を高速船としないと非常に混乱が生じると思う。例えばジャイロコンパスに関わる専門分科会では、高速船用のジャイロコンパスの積載は40ノット以上の船舶、と速度で規定している。日本でもそういう考え方を持って欲しい。

△ 今回のMSCではそこまで細かい議論はなされずNAVで行われると思われる。その際にはご意見をいただきたい。また、排水量による高速船の定義はSOLAS条約に出てくるが、なぜSOLAS条約でこのような定義が使われているかも検討する必要がある。いずれにしても、海上衝突予防法の航法に関わってくることなので厳密に定義しないと混乱を生じることとなるため、本件については今後議論していきたいのでよろしくお願いしたい。

◎ SOLAS条約の高速船は構造に関係していると思う。造船はフールド数という無次元化した数字が使われていて、排水量が小さいとある一定以上のスピードで高速船になってしまう。造船学的な思考が強く、運用学的な思考が欠けていると思われる。海上衝突予防法は運用の問題であるので、擦りあわせを行わないと実務とかけ離れる。

◎ 同文書中において「衝突予防規則8(d)の規定に厳格に従うことで、却って他の操船及び航海規則に反する行動をとってしまい、衝突の危険が増大する場合がある。」とあるが、これはどういうことか。

 

 

 

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