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(8) 米東海岸の鯨保護のための強制船舶通報制度

我が国から、本提案が特定の海洋生物保護のための制度利用であり、本来の趣旨から外れるものである点において各国の意見を求めた。また、将来における同種の船舶通報制度の乱発に繋がる恐れがあることから、本提案を将来における先例とすべきでない旨強く主張した。拡大に関する懸念に対し、米より、本件については米も懸念を有しており、十分な科学データに基づき、以下の条件を提案するとともに、拡散を防ぐ最大限の努力をするとした。?特定の海洋生物が消滅の危機に瀕していること。?主要な船舶航路が、海洋生物の生息海域を通過していること。?船舶の衝突等の物理的な要因により、海洋生物の生存及び回復が滞っていることが明白であること。

(9) ECDISの性能基準

 露及びイタリアより、NAV44における本改正案の検討は必ずしも十分ではないため、再度NAVに破棄差し戻し再度検討するべきとの意見がなされ、数カ国が賛意を表明したが、我が国、IHO等多数の国から、NAVに再度差し戻したところで永遠に出口のないルーティンに入ってしまうとして強く反対した。最終的に賛成多数により採択された。また、MSC決議に記載すべき改正の発効日時を2000年1月1日と変更することで一致した。

(10) 海賊及び武装強奪

 事務局から文書MSC70/15に基づき、84年から98年8月までに合計1,278件の海賊等の報告があり、その件数は増加していることが説明された。また、ICCから、クアラルンプールの海賊センターによれば、98年1月から9月までの間に、海賊による船舶の乗っ取り事件が10件発生していることが説明された。
 事務局から文書MSC70/15/1に基づき、IMOが実施している海賊対策プロジェクトの現状が報告され、あわせて日本政府が海賊セミナーに対し財政支援を行なうこととなったことが紹介された。また、仏、インドネシア、マレーシア、イエメン、ICFTUから、本件に関するIMOの活動を支持する内容の発言が行なわれた。
 BIMCOから文書MSC70/15/2に基づき、港湾域における海賊行為等に関するIMO/BIMCOワーキンググループの常設についての提案がなされたが、事務局から、本件はMSC69において、IMOが実施している海賊対策に加えて実施される行動をとる必要はないとの理由で否決された経緯が説明された結果、BIMCOは本提案を取り下げることとなった。なお、BIMCOから、今後IMO以外の場で非公式のインダストリー・グループの結成を目指す旨の発言がなされた。

(11) VTS職員の訓練と認証に関する基準

 時間の制約のため、次回MSC71で審議されることとなった。

 

 

 

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