4.5.2 波浪中動揺試験結果
(1) 基本タイプ(TYPE-B0)
基本タイプ(TYPE-B0)の規則波及び不規則波中動揺試験の時系列波形例を、図4.9及び4.10にそれぞれ示す。運動(Heave、Roll)の振幅を計算結果と比較して図4.11及び4.12に示す。規則波中Rollのピークは4.6秒付近にあり、自由横揺試験で得られた固有周期とほぼ一致している。計算値と実験値はほぼ一致しているが、Heaveの実験値が計算値より小さめである。
(2) 減揺タンク上載タイプ(TYPE-B0-ART9)
減揺タンク上載タイプ非作動時(TYPE-B0-ART91)及び作動時(TYPE-B0-ART92)の規則波及び不規則波中での運動(Heave,Roll)の振幅を、計算結果と比較して図4.13及び4.14に示す。
減揺タンク非作動時の運動は、固有周期及びピーク値ともに、計算と良く一致しており、重心が高くなった影響で、Roll固有周期が5.3秒と基本タイプに比べやや長くなっている。
減揺タンク内の水の運動は多くの振動周期成分を有するため、減揺効果を阻害する高次の振動成分を取り除くため、タンク中央部に網状の材料(ヘチマロン)を入れた。これにより最低次のタンク水運動だけを残すことができ、予定していた減揺効果を発揮することができた。実験値は計算値の傾向と良く一致しており、非作動時に比べて規則波中Rollピーク値を4分の1以下に低減し、その前後の周期にそれぞれ小さなピークができる二重振り子の応答の傾向を表している。図4.15に上下加速度の結果を示す。不規則波中の上下加速度有義値はタンク作動時でも40gal程度である。もう少し長周期側にRoll 固有周期をずらすことにより加速度低減が可能と考えられる。
このタイプは、上部に大きな構造が取り付けられているので、他のタイプと比べて大きな風荷重を受けるものと考えられる。そこで、不規則波に加えて平均風速10m/sの変動風を作用させた実験を行った。計測された変動風のスペクトルをダベンポートのスペクトルと比較して図4.16に示す。図4.17に示す漂流力は無風時に比べ風荷重分だけ大きい。変動風作用時と無風時との漂流力の差はおよそ1.2tonで、これは表4.4に示す推定風荷重約1.0tonにほぼ相当する。同図において、減揺タンク非作動時をTYPE-B0-ART91W、作動時をTYPE-B0-ART92Wとして示す。図4.18に変動風作用時の応答(Sway,Roll)を示す。無風時と比べSwayがやや大きいが,Rollの応答振幅は変動風を作用させてもほとんど変わらない。