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(4) 制振装置(TMD)の原理

TMDの原理は減揺タンクと同様であるが、本研究で採用した天秤型のTMDについて、その構成及び原理を述べる。

浮体のロール運動に対応するためロール運動の中心から両側に張り出したキャンチレバーの両端に取り付けられた重錘(おもり)が、中央でヒンジ支点により浮体に取り付けられ、おもりと中央のヒンジの間にバネ及び減衰器(オイルダンパー)を配した構造である。

 

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TMD(Tuned Mass Damper,動吸振器)は、浮体構造物に対して、おもり、ばね、オイルダンパーからなる振動系を、制振しようとするモード(この場合はロール運動)と連成(共振)するような振動数を持つように調整して付加することにより浮体に減衰を付与するものである。共振状態にある2つの振動系(浮体とTMD)は互いに速度の位相が90°ずれるために、浮体のロール運動を打ち消す方向にTMDのおもりは振動する。浮体のロール運動による振動エネルギーの一部は、おもりの振動エネルギーに変換され、これがオイルダンパーにより消費される(オイルダンパー内で熱エネルギーに変換される)。

このようにして、浮体にTMDを付加し、共振させることにより浮体に減衰を与え、浮体のロール運動を軽減させることができる。その効果は、おもりが大きいほど(重いほど)大となり、またTMDの減衰(オイルダンパー)の最適値が存在するが、実用上は浮体内部のスペース、浮体に付加できる重量などにより制限を受ける。

 

 

 

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