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加藤知子(ヴァイオリン)

Tomoko Kato, Violin

 

4歳よりヴァイオリンを始め、三瓶詠子、久保田良作、江藤俊哉の各氏に師事。第47回日本音楽コンクールヴァイオリン部門第1位、レウカディア賞受賞。翌年の海外派遣コンクールで特別賞受賞。1980年桐朋学国大学卒業。同年8月タングルウッド音楽祭(アメリカ)に参加、メイヤー賞受賞。10月にはボストンのニュー・イングランド音楽院に入学、ヴァイオリンをドロシー・ディレーに、室内楽をローレンス・レッサーに師事。アスペン音楽祭、マールボロー音楽祭に出演、ルドルフ・ゼルキンらの指導を受ける。1981年9月から文化庁派遣研修員として2年間、ジュリアード音楽院に留学

1982年第7回チャイコフスキー国際コンクール第2位受賞。1983年帰国。東京文化会館でデビュー・リサイタルを行う。以来国内はもとよリアメリカ、ヨーロッパ、南米、韓国、中国、モスクワなど各地でオーケズトラとの協演やリサイタル・ツアーを行ったり、NHK-TV、FM番組に出演

ソロ活動のほかには室内楽、リリア・アンサンブルの中枢として活躍。またアンサンブル神奈川、ATMアンサンブルなどを恒常的に行っている。アルゲリッチ、マイスキーらとの共演も高く評価された。

1995年サントリーホール大ホールでのリサイタルは、「持ち前の美音と大らかな音楽的解釈で客席を埋め尽くした聴衆にヴァイオリンを聴く喜びを伝えることに成功した」、また1996年クリヴィヌ指揮リヨン管弦楽団との協演は「特にスケルツォやアンダンテ楽章での熱い情感をこめた歌は聴き応え充分であった。」と絶賛された。

今シーズンは、アコーディオンのフッソングとバッハのヴァイオリン・ソナタを共演、オーケストラ、リサイタルの公演のほか、宮崎国際室内楽音楽祭、クフモ音楽祭、ライプツィヒ国際音楽祭への参加を予定している。

 

新日本フィルハーモニー交響楽団

New Japan Philharmonic

 

“一緒に音楽をやろう”との小澤征爾の呼びかけに共鳴した演奏家が中心となり、72年7月に自主運営のオーケストラとして発足した。同年9月には小澤の指揮で第1回定期演奏会を開いている。以来、意欲的な演奏活動で着実な発展を続け、88年には財団法人化を実現。定期演奏会も今年第270回を数える。新日本フィルの指揮者は、当初、小澤征爾を首席指揮者に、山本直純を幹事、手塚幸紀、小泉和裕を指揮者、斎藤秀雄を顧門とする指揮者団が形成された。斎藤秀雄の没後は朝比奈隆を顧門に迎え、この陣容は92年に指揮者団が発展的解消をするまで続いた。音楽監督は第1代小泉和裕(75-79年)、第2代井上道義(83-88年)が務め、両指揮者のもと新日本フィルはオーケストラの基礎を固め、躍進した。

91年秋には楽団創立20年を機に、小澤征爾が名誉芸術監督に就任。また、92年9月にはシモン・ゴールドベルク(93年7月死去)、レオン・フライシャーらが、94年10月には高関健が、それぞれ新日本フィル指揮者に就任、さらに95年9月には“フレンド・オヴ・セイジ”のタイトルでムスティスラフ・ロストロポーヴィチが指揮者陣に加わり、音楽面での一層の充実がはかられるようになった。

楽団の性格と特徴を端的に示す定期演奏会は97年のすみだトリフォニーホールヘのフランチャイズを機に同ホールの2公演と渋谷のオーチャードホールの1公演の月3回の公演となり、斬新なプログラミングと演奏力の向上があいまって多くの聴衆の支持を得ている。

これまでに行われた74年のニューヨーク国連本会議場での「国連デー・コンサート」を始めとするアメリカ・ヨーロッパ演奏旅行(小澤征爾、秋山和慶指揮)、85年の2度目のヨーロッパ演奏旅行(小澤征爾、井上道義指揮)等の海外公演は精緻な演秦と豊かな表現力が高く評価され、各地で大成功を収めた。

国内でも、4年を費やした世界初の《ハイドン交響曲全曲演奏会》、朝比奈隆指揮による《ベートーヴェン交響曲チクルス》《ブラームス交響曲チクルス》《ブルックナーシリーズ》、「イドメネオ」「サロメ」「マノン・レスコー」「さよえるオランダ人J「ファルスタッフ」「トスカ」「セヴィリアの理髪師」「蝶々夫人」「魔笛」と過去9回を数える《小澤・オペラシリーズ》など、常に音楽界の注目を集める意欲的な好企画、名演奏を続け、また、ジャズから演歌まで各分野との共演も珍しくなく、枠を広げた演奏活動は話題を呼び親しまれている。

97年秋からは、墨田区が錦糸町駅前にオープンした<すみだトリフォニーホール>をフランチャイズとして定期公演をはじめ数多くのコンサートを行い、地域を基盤とする東京初のオーケストラとして一層の飛躍を期している。

 

 

 

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