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第一楽章 アレグロ イ長調4分の4拍子。協奏風ソナタ形式あるいは序奏をもったソナタ形式。

第二楽章 アダージョ ニ長調4分の3拍子。三部形式。

第三楽車 ロンドアレグロ イ長調8分の6拍子。ロンド形式。

 

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ベートーヴェン、ルードヴィヒ・ヴァン

Beethoven, Ludwig van

[1770.12.17洗礼ボン〜1827.3.26ウィーン]

フランス革命の時代に青年期を過ごし、音楽家の社会的自立と音楽作品の自律的表現の拡大・深化を目指して力強い創作活動を展開する。ベートーヴェンの創作活動は大きく3期に分けられる。初期は1802年「ハイリゲンシュタットの遺産」を作曲した頃まで。中期は「交響曲第3番・英雄」「交響曲第5番・運命」「ピアノソナタ第23番・情熱」などの名曲を生んだ時期で、この時期が社会的名声も高まり充実した時代である。さらに創作活動後期の1810年代後半になると耳疾の悪化や家庭不和などの苦難の時代である。器楽を主体とするその作品には理想主義的傾向を示すものが少なくないが晩年の作品には主観的内面への傾斜が見られ、宗教的響きを持った作風となっている。

 

交響曲第6番へ長調op.68「田園理」(演奏時間45分)

 

偉大なベートーヴェンの作曲した古典音楽の金字塔といわれる九つの交響曲は、それぞれに優れた価値ある作品ばかりだが、特にこの第6番の「田園」は、第5番の「運命」にみられるすさまじいばかりの人間の闘争とはおよそ対象的に自然を愛し、人間の生きる喜びを謳歌した人間ベートーヴェンの一面を描きだした名曲として知られている。

この曲はベートーヴェン38才の時の作品で、作曲した場所とされるウィーンの北にあるハイリゲンシュタットの丘は今でも見物客でにぎわっている。この曲の作曲当時は、交響曲に標題などはなく、抽象的な内容を音楽にした作品ばかりだっただけに、各楽章ごとに標題をつけたこの曲は、これまでにない珍しい形であり、楽章も五つの楽章という型破りのもので、ベートーヴェンの意欲が充分に伺える作品である。

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ ヘ長調 4分の2拍子。ソナタ形式。

標題「田舎に着いた時の愉快な気分」

初夏の田園の明るい陽ざしとそよ風を感じられるような平和と喜びに溢れる楽章。さきの交響曲第5番と同じく導入部はなく、いきなり第一ヴァイオリンで明るい第一主題が呈示される。

第2楽章 アンダンテ・モルト・モッソ 変ロ長調 8分の12拍子。ソナタ形式。

標題「小川のほとり」

静かな優美な楽章で、流れる小川のせせらぎを第2ヴァイオリンで、後半にはナイチンゲールがフルートで、うずらをオーボエで、カッコーがクラリネットで演奏されるのどかな田園風景が美しく描かれる。

第3楽章 アレグロ ヘ長調 4分の3拍子。スケルツォ。

標題「田舎の人との楽しい集い」

村祭りに踊る農夫たちの愉快な場面を描いている。弦三部ででてくる主題は手拍子、足拍子でおもしろく踊る、野性味豊かな荒削りな田舎の舞曲を思わせる。

(第3楽章から第5楽章は続いて演奏される。)

第4楽章 アレグロ ヘ短調 4分の4拍子。

標題「雷と嵐」

ピッコロ、トロンボーン、ティンパニーが加わり、踊りの場面が一転してにわかにすさまじい嵐となる。やがて嵐はやみ、日の光りも現れ、青空にフルートの澄んだ音がのぼってゆき、引き続き第5楽章に入る。

第5楽章 アレグレット ヘ長調 8分の6拍子。ロンド・ソナタ形式

標題「牧歌、嵐のあとの喜びと感謝」

羊飼いの笛のメロディから、のどかな優しい主題が繰り返し変奏され、大自然と人間があたかも、一つの場面へ溶け込んでゆくような雄大な終結部へと導かれて行き、ホルンが序奏部のメロディを吹いて曲は終わる。

 

 

 

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