喜多川 武敏(きたがわ たけとし)(明40.1.1生・長崎県佐世保市)
多年にわたり医療に精励し、特に医療に恵まれない離島及び僻地住民の医療確保のために献身的に尽力し、地域住民の健康と福祉の向上に貢献された。
1] 度島(たくしま)町は、長崎県平戸市管内の北部に位置する面積3.45平方kmの離島で、平戸桟橋から約7km、離島航路の定期船で約40分の距離にあり、農業・漁業を主とする人口1038名の町である。
昭和57年に75歳で嘱託医として、同島内唯一の診療所である度島診療所所長に就任、以来、平成10年7月まで診療所の二階を住居として、16年間にわたり住民の診療活動に尽くした。医療行政に対する氏の深い理解は、市当局はもとより離島のハンディを背負う地域住民にも安らぎを与え、氏の献身により同島は無医地区となることを免れてきた。
2] 僻地医療に対して医師として深い理解を持ち、昭和10年から北松浦郡宇久神浦村、同13年西彼杵桧郡七釜村、同16年北松浦郡津吉村、同24から30年を東彼杵桧郡江上村と20年間にわたり、内科・小児科を中心とした診療を通じて地域住民の健康増進に努めるほか、小中学校の校医として児童生徒の健康管理に寄与してきた。
3] 昭和30年から佐世保市小佐世保町で開業し、主に内科・小児科の診療に従事するほか、小佐世保小学校の校医としても地域医療に尽力している。その後、平戸市から度島診療所への招聘があり、市の要請に応えて同57年5月平戸市国民健康保険度島診療所に赴任した。僻地医療に対する強い情熱を抱いていた氏は小中学校の校医をはじめ、保育園児の健康診断、乳幼児検診等をも精力的に行って地域保健の充実に寄与するとともに、積極的な往診診療も続けた。
また、婦人会、老人会各種学級等における講座、研修の場で自ら講演し、ビデオ等による分かり易い健康管理、応急処置の心得などの指導を行い地域医療、社会福祉の向上に貢献した。
((社)全国自治体病院協議会推薦)