受賞者の事績(敬称略)
人命救助等
人の生命、身体の安全確保、水・火災その他の事故・災害の防止、救助、復旧及び防犯等に顕著な貢献をされた方々 (16件)
(社)日本水難救済会北海道支部枝幸(えさし)救難所
(代表 小川 昭一・北海道枝幸郡枝幸町)
平成9年10月14日夜、サンマ漁の操業から北海道枝幸町へ帰港中の漁船が、降雨による視界不良のため進路を誤り岩礁に乗り上げ浸水した。救助要請を受けた枝幸救難所は直ちに所長以下8名が夜間、降雨をついて出動し、転覆と座礁の危険の中、漁船の乗組員4名全員を無事救助された。
漁船「第88栄山丸」は、平成9年10月14日午後7時30分頃、北海道枝幸町山臼漁港沖合で、サンマ漁を行い、操業を終え帰路についた。しかし、当時天候は激しい降雨に見舞われたため視界が悪く、さらに暗夜のため山臼漁港への進路を誤り、同港沖合の岩礁の点在する危険な海域に向かった。
危険に気づいた船長は、急遽漁船の進路を変更し危険海域からの脱出を試みたが、山臼港東防波堤灯台の北北西約800m付近の暗礁(水深50cm)に乗り上げてしまった。このため漁船の舵及びプロペラ等を損傷して航行不能の状態に陥り、さらに座礁したときに船底外板に10cmの亀裂が生じ、そこから機関室に海水が浸入してきた。
機関室が20cm程も浸水したため船長が漁業無線で遭難通信を発し、応答した「第68幸運丸」に緊急事態であると救助を求めた。救助要請を受けた同船は枝幸漁業協同組合に速報した。
同日午後8時頃、枝幸漁業協同組合から、漁船第88栄山丸の救助要請を受けた枝幸救難所所長は、直ちに所員を非常呼集し、駆けつけた所員7名とともに、救助船で夜間、降雨の中を出動した。現場海域は暗礁が点在し、救助船にとっても危険な場所であるため、全員で手分けして見張りを続行し、急行した。
午後8時20分頃遭難現場に到着したが、座礁現場は水深が浅く磯波が打ち寄せて、救助船も転覆、座礁しかねない危険な海象条件の中、卓越した操船技術をもって接舷させ、水舟状態になっていた漁船から乗組員4名全員を救助船に収容、救出に成功した。
((社)日本水難救済会推薦)