2 法律扶助協会の概要
主たる事業
法律扶助協会は民間の公益法人(財団法人)です。
協会は、「法律上の扶助を要する者の権利を擁護し、もってその正義を確保する」(寄付行為第4条)ことを目的とし、この目的を達成するために、
(1) 資力の乏しい者に対する訴訟費用等の立替え
(2) 弁護士の紹介
(3) 弁護士による法律相談
(4) 民事訴訟の保全処分に関する支払保証
(5) 法律扶助に関する調査・研究
(6) 法律に関する知識の普及、広報及び出版物の刊行
(7) その他協会の目的達成に必要な事項
を行うことになっています(寄附行為第5条)。
現在協会が行っている事業としては、
(1) 民事法律扶助(民事裁判費用の立替)
(2) 無料法律相談
(3) 刑事被疑者弁護援助
(4) 少年保護事件付添扶助
(5) 難民法律援助
(6) 中国残留孤児国籍取得支援活動
などがあり、この他に、支部によっては外国人の法律援助、精神障害者の退院請求の援助などを実施しています。
刑事法律扶助は、刑事訴訟法で国選弁護の制度があることから、協会の発足当初は事業の対象としては考えられてはいませんでした。しかし、最近では起訴前の被疑者の権利が重要とされるにつれて、刑事被疑者弁護援助の実績が急増しています。
運営
協会の運営は、日本弁護士連合会と各地の弁護士会により支えられてきましたが、事業基盤の広がりをはかるために、平成10年12月、協会は寄附行為を改正し、理事、評議員の定数をそれぞれ20名〜25名以内とするとともに、これら理事、評議員の半数は弁護士でない人とすることにしました。
業務運営の要となるスタッフは、法律扶助協会が直接雇用している職員は本部、及び東京都支部のみで、その他の支部の業務は弁護士会の職員の出向によるか、弁護士会自体の業務の一つとして維持されています。また、日本弁護士連合会と各地の弁護士会は平成9年度、協会に対して4億897万円の補助をしています。
扶助事件から1
建物明渡し
仮処分
(相手方)事件
【扶助決定にいたった事情】
阪神・淡路大震災でBさんの賃借していた家屋は相当の損害を招じたが、まだ居住できる状態であったにもかかわらず、家主は建物が全壊したとして、建物の明渡しを求める断行の仮処分を申し立てて認められ、執行も申し立てた。
【事件の処理】
震災被災者法律援助によってこのケースを受任した弁護士は、強制執行停止決定と、仮処分異議を申し立てたが建物の強度に関する専門家の鑑定を早期に得ることができず、執行停止は却下されてしまった。
【事件の結果】
受任弁護士は相手方代理人と交渉し、立ち退き料として100万円を受け取るとともに、供託していた賃料相当分を取り戻すことで合意に達した。
原告A
家主
ネ??