3)部品製作
熱交換器部分段数供試体の斜流部に使用するフィンを製作した。次年度は、供試体の部品製作を完了し、組立に着手する。
c)熱交換器入口流れ試験
1)目的
熱交換器入口におけるガスの偏流により、熱交換器の性能が低下する。またこの偏流によってイグゾーストディフューザ内の排気圧力損失が増加し、目標の4%を越える可能性もある。このため偏流と排気圧力損失に対するイグゾーストディフューザの形状の影響を把握する。今年度は主にベーンとイグゾーストディフューザ下部の絞りの影響を調べる。
2)入口流れ試験装置
試験装置の構成図を図2.3-6に、供試体の写真を図2.3-7に示す。イグゾーストディフューザの模型は実機スケールの1/4とし、熱交換器入口でのレイノルズ数を実機条件と一致させた。計測は熱交換器出口での流速を熱線流速計により測定し、パワータービン出口部から熱交換器入口部までの排気圧力損失を測定した。またイグゾーストディフューザのモデルをアクリル製とし、タフトによってフローパターンを可視化した。
3)結果
試験条件と結果を図2.3-8にまとめた。偏流の程度は、流速が平均±25%となるガス流路面積割合として示した。排気圧力損失は測定値を流速の実機との差異に関して補正した。
3.1)流れ解析と試験結果の比較
流れ解析のモデルを図2.3-9(a)に示す。熱交換器本体のガス流路は、計90流路に分割し、流れ方向を鉛直上向きに拘束した。各流路の圧力損失係数は、圧力損失が流速の2乗に比例するとして調整した。
この流れ解析のモデルに対応した試験を実施した。なお、本比較以外の試験では熱換器は、斜流部まで含めて模擬した。
流れ解析結果と試験結果の比較を図2.3-9に示す。流れ解析、試験結果双方とも壁面近傍と中央部に高速域が存在しており、流れの大まかな傾向は一致していた。
3.2)ベーンの影響
壁面近傍の流速を低減するため、ベーンを設置した試験を行った。ベーンの設置位置は、ベーン1枚設置[図2.3-10(b)] のときが減速機側壁面のみ、ベーン3 枚設置[図2.3-10(c)] のときが減速機側壁面と左右側の壁面に各1枚ずつである。ベーンを設置することにより、壁面近傍の高速域は内側に広がったが、偏流を低減する効果は小さかった。また排気圧力損失についても基本形状の場合より増加していた。ただし、すべての条件において、左右側の壁面近傍に高速域があり、この対策として左右側の壁面のベーンが効果がある可能性がある。
3.3)イグゾーストディフューザ下部の絞りの影響
イグゾーストディフューザ下部を絞ることによって、偏流と排気圧力損失が低減された。とくにイグゾーストディフューザの減速機側壁面を斜めにした後絞り[図2.3-10(d)] では、すべての条件の中で偏流が最も小さく、排気圧力損失も最小であった。
またタフトによる可視化の結果、比較的スムースに流れていることがわかった。なお前絞り[図2.3-10(e)]と両底絞り[図2.3-10(f)] では、中央部に低速域ができ、偏流低減の効果は小さかった。
次年度は、ディフューザのイグゾーストディフューザ内へ突き出す長さをパラメータとして試験を行い、イグゾーストディフューザ形状を決定する。