d)流れ模型試験装置・可視化部試験
1)目的
低NOx燃焼器の燃焼器内の流れを評価するために、平成10年度は、尾筒部について尾筒内流れ模型試験装置の設計・製作を行い、尾筒内の可視化試験を行うと同時に、シミュレーションによる解析結果との比較を行う。
2)流れ模型試験装置
燃焼ガスをライナからタービンへと効率的に導くための尾筒部について、流れ模型を用いた可視化試験を実施し、シミュレーションによる解析結果と比較を行った。
図1.1-8に尾筒内流れ模型試験装置の概略図を示す。本装置は尾筒模型を実機と同サイズの透明アクリル製とし、実機条件のRe数による相似条件を保ちながら作動流体に水を使って尾筒内流れをトレーサやレーザ・ドップラ流速計(LDV)を使って可視化した。
図1.1-9に尾筒内流れシミュレーションのメッシュ図を示す。シミュレーションはH9年度と同様にシミュレーションソフト「FLUENT」を用いて、設計変更に伴う形状設定変更を行い、実機の尾筒入口ガス条件に対して実施した
3)可視化部試験
図1.1-10に、全体のフローパターンについて、可視化計測結果とシミュレーションによる解析結果を比較して示す。XY断面(上図)においては、計測結果と解析結果は良く一致しており、共に、曲がりによる大きなはく離流れは見られず、本設計が適正であることが確認できる。YZ断面(下図)においても、計測結果と解析結果は良く一致しており、共に、渦等は見られず、入口から流入した流れがスムーズに出口に広がっていく様子が分かる。
図1.1-11に、LDVによる出口近傍の流速分布の測定値を、シミュレーションによる解析結果と比較して示す。計測結果と解析結果は定性的な速度分布が良く一致しており、出口付近の断面において流速の均一化がかなり促進されていることが分かる。
図1.1-12に、シミュレーションによる出口流速の解析値を示す。出口流速はほぼ均一化しており、本設計が適正であることが確認できた。
4)まとめ
平成10年度は、尾筒部について尾筒内流れ模型試験装置の設計・製作を行い、尾筒内の可視化試験を実施して、可視化計測結果とシミュレーションによる解析結果との比較を行った。
可視化計測結果とシミュレーションによる解析結果は良く一致しており、シミュレーションが流れを良く模擬できていることが分かる。また両者の結果から、尾筒内にはく離流れや渦が見られず、出口では流れが均一化していることから、尾筒の本設計形状が適正があることが確認できた。