バーナー部のみの評価を行うため、バーナー部試験装置を設計、製作した。図1.1-4に装置の概略図を示す。バーナー部試験装置では、供試バーナー部に空気、燃料がそれぞれ流量等を調整して供給され、ダクト内で燃焼させる。計測ダクトでは、燃焼ガス中の排ガス成分、温度分布を測定する。
3)バーナー部試験
供試バーナー部として、エアブラスト・タイプの燃料噴射弁とスワーラと組み合わせたものを用いた。エアブラスト・タイプの燃料噴射弁は、微粒化用空気に与える旋回角度を変化させることによって、噴霧の分布を変化させることができる。図1.1- 5は、噴霧が中空で分布するtypeAと中実に分布するtypeBの比較である。微粒化用空気の圧力損失率を横軸にとっているが、3〜4%が使用範囲である。圧力損失率が3.5%以上ではtypeBの方がNOxが低い。
4)まとめ
平成10年度は、バーナー部の性能を評価するバーナー部試験装置の設計、製作を行った。また、供試バーナー部を用いてバーナー部試験を行った。中実、中空の2パターンの噴霧分布を試験したが、中実の噴霧分布の方がNOxは低く、今後のバーナー部への適用を考えていく。
c)噴霧試験装置・噴霧試験
1)目的
低NOx燃焼器に用いる燃料噴射弁の性能を評価するために、平成10年度は噴霧性能を評価する試験装置を設計、製作する。また、供試燃料噴射弁について、噴霧性能を調べる。
2)噴霧試験装置
液体燃料焚き低NOx燃焼器において、燃料噴射弁の性能はNOx性能に大きく影響する。燃焼器の性能、仕様を満足した上で広い運転範囲(大きなターンダウン比)を確保するため、燃料噴射弁に求められる性能としては、空気との十分な混合を行える良好な微粒化、適切な噴霧角等が挙げられる。以上のような評価を行うため、噴霧試験装置を設計、製作した(図1.1-6)。噴霧試験装置は、供試燃料噴射弁取付部、測定位置を変更するための可動ステージ、噴霧粒径計測装置からなる。燃料噴射弁に供給される流体の流量、噴射圧力を調整し、試験条件を変化させる。噴霧粒径はレーザを用いた光学計測機器で計測する。
3)噴霧試験
噴霧試験においては、燃料の代わりに水を代替流体として用い評価を行った。図1.1-7は、燃焼器試験に用いたメインノズル、追焚きノズルの噴射圧に対するSMD(ザウター平均粒径)、噴霧角の変化を表したものである。メイン燃料の希薄予混合化を行うにはメインノズルの噴霧粒径ができるだけ小さくなることが望ましい。噴霧粒径の目標値を満足する噴霧を行うためには約0.8MPa以上の噴射圧を必要とすることが分かる。また、燃焼器ライナ内壁に微粒化された燃料が付着することは、燃焼空気との混合や壁面へのカーボン付着の点からみて望ましくなく、このためにはメイン燃料の噴射角は30〜40°であることが要求される。今回の噴射弁では噴射圧力が0.8MPa以上では約50°まで噴射角が広がっている。追焚きノズルは低NOx 運転範囲を広げるために、十分な微粒化を得られる流量範囲(噴射圧範囲)が広いことが望まれるが、この結果より噴射圧力が0.5MPa以上でSMD目標値以下の噴霧となることが分かる。
4)まとめ
平成10年度は、燃料噴射弁の性能を評価する噴霧試験装置の設計、製作を行った。また、燃焼器試験に用いた燃焼噴射弁の性能を調べた。燃焼器形状にあった噴霧角、広いターンダウン比の実現が今後の改良点である。