日本財団 図書館


4.1.2 規制以外の船舶排ガスに関する取り組み

北欧諸国の船主は自らの企業姿勢あるいは開発技術を内外に示すために、自主的に低硫黄燃料を使用するとともにSCR船等の低NOx排出船を新造する動きがある。

MS Auroraはスウェーデン船籍のフェリーでスウェーデンとデンマークの間を就航している。同船は1992年4月に2.5MWの中速4サイクルディーゼル機関(Wartsila製)に尿素水を使用したSCRを過給機の後に設置している。SCR装置は1996年までに8,000時間以上稼動しており、平均NOx削減率は97%に達するとされている。

船舶用のSCR装置は反応温度の問題から機関と過給機の間に設置される例が多かった。しかし、この方式では過給機とのマッチングが取りにくいとともに、触媒の研究が進んだこともあって、最近では過給機の下流に設置される場合が増えているようである。

同様に、Swedish SCAでは、大型の尿素水SCRを搭載した貨物船を同社の製紙工場へ1999年春頃から導入する予定としており(S C A Graphic PaperのHPより)、90%程度の脱硝率で計算すると、現在製紙工場本体から排出される年間NOx総量より多くの削減量が見込めるとしている。

また、DenmarkデンマークのNorth East Shipbuilders社のSuperflexシリーズと呼ばれるフェリー船(全長95m、載貨重量1,330t、定員303人)は電気推進機として4基の全方向スラスターを搭載しているが、その電源には甲板上に置かれた10台の可搬型ディーゼル発電ユニット(定格出力275kW)を用いており、固定された推進機関も発電機関も設置していない。

低速で航行する際は、稼動するユニット台数を少なくすることで個々の発電ユニットはたえず適正な負荷範囲で稼動されている。また、各ユニットは車両甲板上に設置されているため、別個に取り外しが可能でメインテナンス性も向上したとされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION