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(1)IMOの規制動向

船舶の排ガスに関する規制に関する国際的な場での議論は国際海事機関(IMO;International Maritime Organization)内で一貫して行われてきた。第29回MEPCにおいてNorwayからPrevention of Air Pollution from Ships,Including Fuel Oil Quality(資料番号MEPC29/18)が提出された。同レポートによると、全世界のNOx、SOxの総排出量(火山等天然起源のものは含まずOECD等に資料による人工排出量)に対する外航船舶の寄与度はそれぞれ7%、4%と計算され、航行の交錯する海域においては面積当たりの排出量は陸上と同等以上になる可能性もあるという結論が紹介されている。その後の検討作業の結果、1997年9月のMARPOL条約締約国会議でMARPOL73/78条約の97年新議定書によって「船舶からの大気汚染防止に関する新附属書VI」として採択された。

*マルポール73/78条約

正式名称「1973年の船舶による汚染防止のための国際条約に関する1978年の議定書」船舶が排出する油(ビルジ)や有害物質による海洋汚染防止を目的にロンドンで採択された。日本は83年に条約を締結しており現在締結国は70ヵ国である。

ア.NOx規制案

NOx排出量が図4.1-1に示す規制値を超えないことが求められる。同図において、横軸は機関の定格回転数(定格出力時のクランク軸の回転数、単位はrpm)を示しており、機関の規模を数値化したものと説明されている。また、縦軸は排出率(Specificemissions;単位はg/kWh)である。NOx排出量は、本来全ての窒素酸化物の合計値であるが、主成分であるNO、NO2の比率が推定困難であることから、全てNO2換算値として規定されている。すべて2000年1月1日以降に建造される新造船に搭載される130kW以上の全てのディーゼル機関は、この規制カーブを工場試験においては超えないことが要求される。

排出率の計算に用いるNOx排出量は定格出力時および部分負荷の数点で測定され、規定の重み付け操作(テストサイクル)を用いた数値が使用される。測定に使用されるテストサイクルや測定方法は別途technicalcodeで定められるが、排ガス量の推定にCarbonBalance法を用いることにしている点等、従来のNOx測定技術よりも精査な測定が要求されている。

低速機関に対する17g/kWhを、テストサイクル全てのポイントでBe(燃料消費量;g.PSh)および排ガス中のNOxガス濃度および酸素濃度が変わらないと仮定すると、以下のような変換式でおおよその排出濃度が計算ができる。実際には、テストポイントごとの数値が考慮される。

 

 

 

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