Fuel Quality Statistics Vol.10(2),VERITAS Petroleum Services,1990よりJuly 1989〜June1990の測定結果
(3)燃料中の窒素含有率
原油の窒素含有率は平均0.1重量%で、ほとんどの産地では0.2重量%以下で高沸点留分でその割合は増加する。燃料のMFOの原材料となる残さ油に含まれる窒素含有率については、表3.3-42に示すような値がある。また、国内で精製された重油分に含まれる硫黄含有率と窒素含有率の関係を調べた調査例として図3.3-17に示すような関係がある。
舶用ディーゼル機関から排出されるNOxは、空気中の窒素と酸素がシリンダー内の高圧高温雰囲気下で結合するThermal NOxと燃料中の窒素含有物質が酸化される際に生じるFuel NOxとに大別される。Thermal NOxは燃焼雰囲気内の温度が約1,500℃以上で活発に生成されると言われている。一方、Fuel NOxが燃焼雰囲気内の温度にあまり左右されず、1,500℃よりかなり低い温度でも生成すると言われている。燃料中の窒素のNOxへの転換率については、燃料中の硫黄とは異なり必ずしも100%酸化されているとは限らず確定した数値がない。表3.3-41に示すようにかなり大きな幅を持っており、低回転の大型2サイクル機関においてはほぼ100%に近いといわれている一方で、4サイクル機関では燃焼状態により大きく変化するという意見もある。例えば、小型高速機関においては約25%の転換率を示唆する実験結果や、転換率80%とするデータもある。
0.1重量%程度の窒素含有率のMFO(C重油程度)のFuel NOxは、転換率100%という前提では約60ppm(13%O2換算値)あるいは0.56g/kwh程度の上乗せと計算される。