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3.3 船舶用燃料に関する調査

 

本節では、船舶に用いられる燃料の性状、使用量などに関する整理検討を行う。

内航船舶は大量輸送を低コストで実施するため、最も廉価な燃料を用いている。課税の対象範囲であるA重油、B重油、C重油が主に使われ、ごく一部として灯油、軽油、ガソリンが使用されている。

一方、課税対象とならない外航貿易に従事する船舶に供給される燃料はバンカーオイルと呼ばれている。バンカーオイルは二つの種類に大別され、軽油、A重油相当の燃料をMDO(Marine Diesel Oil)またはMDF(Marine Diesel Fuel)、B重油、C重油相当の燃料をMFO(Marine Fuel Oil)と呼ぶことが一般的である。灯油、ガソリン相当の燃料はバンカーオイルとして扱われない。

本章では、3.1で述べたたように、以下の3つのカテゴリーにおいて、船舶に用いられる燃料消費量およびその内訳を他の統計資料なども使用しながら検討する。

なお、先に延べたように、周辺海域は沿岸から200海里までとした。過去の調査においても、1993年に運輸省が行った調査*1や1996年に環境庁が行った調査*2においても、周辺海域を200海里としており、200海里が周辺海域の定義として妥当であると考えられる。

 

*1;船舶による日本沿岸域の大気汚染に関する調査研究事業、(日本海難防止協会,1993)

*2;船舶温室ガス排出量等総合調査、1996年3月、日本システム開発研究所

 

表3.3-1 各燃料消費量の定義

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表3.3-2に本調査で使用する主な統計資料とその調査対象範囲について示した。

日本国内では燃料消費量、貨物輸送量などについてほぼ同じ統計量を扱う資料が2種類ある。例えば、内航船の燃料使用量に関しては、通産省エネルギー需給統計年報と運輸省がまとめる日本内航統計年報があり、両者からクロスチェックを行うことも可能である。

しかし、客船、貨物船、ハーバータグボート、漁船などについては統計ごとにその扱いが様々である。また全国規模の統計データでは、船型、船種ごとの内訳が作成されていない場合も多い。

一方、世界各国での統計資料は統計資料成立過程で熱量換算などいくつかの換算係数を乗じているため、国内統計と誤差を生じている場合がある。また、漁業については農水業として一括で取り扱っており、内航についても運輸部門一括で取り扱う資料も多い。

 

 

 

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