日本財団 図書館


3.4 海洋の基本スコープ

 

(1) はじめに

本調査では、海洋のより高度な利用を図るために、海洋資源・エネルギー分野、地球環境保全分野および海洋観測・調査分野など海洋の分野全般について、今後、人類の手によって利用できる領域を明らかにすることが大きな目的である。ここでは、これまでに議論した「海洋の研究開発動向」や「先端科学技術の動向」を踏まえながら、海洋利用の全体像を明らかにすべく、海洋の基本スコープとして利用可能性のある分野を整理した。

 

(2) 海洋の新しい体系

まずはじめに、21世紀の海洋利用は積極的に先端技術を取り込んだ科学技術のフロンティアとして位置づけられ得ることがわかった。すなわち、技術開発および研究開発の場としての海洋である。具体的には、学問の対象としての「海洋科学」、21世紀に大いなる飛躍が期待される「バイオテクノロジー」、高度情報化社会を支える「情報通信技術」、21世紀のエネルギー問題に係わる「海洋エネルギー技術」、さらには、横断的に広く共通する技術分野を含む「共通要素技術」として、海洋利用を整理することができる。

一方、21世紀には、二酸化炭素の増大による地球の温暖化、砂漠化、環境汚染の拡大等の環境問題が顕在化し、新たな生活空間や産業の場を創出する必要性に迫られる。さらに、交通・輸送・通信の場を確保することは人類の活動にとって必須の要件であり、世界人口の増加による食糧問題や経済活動の活性化も重要な課題である。このような21世紀の諸問題を解決する場としての海洋の位置づけも極めて重いものがある。ここでは、地球温暖化対策、海洋汚染対策、大気汚染対策および海洋環境マネジメントを含む「地球環境問題からみた海洋」、居住の場、産業活動の場、レクリエーションの場、レクリエーションの場などの「生活・産業の場としての海洋」、船舶、港湾・空港、橋梁・海底トンネル、パイプライン、情報通信等の「交通・輸送・通信の場の海洋」、生物資源、海洋資源、経済水域マネジメント・沿岸マネジメントとしての「経済水域・資源採取の場としての海洋」として海洋の基本スコープを整理した。海洋の基本スコープの概要を表3.4-1に示した。また詳細は、図3.4-1に示した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION