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3.2.8 我が国における海洋観測船とその運用

 

(1) 海洋観測船の保有状況

ここでは、前項までに取り上げてきた我が国の海洋関連プロジェクトの動向と、各省庁が保有する船舶数との関係について解析を行った。解析においては、社団法人日本深海技術協会による平成9年度科学技術庁委託事業「世界における海洋観測船及びその運用状況について」の成果報告書を参考とし、平成9年度における我が国の海洋観測船の保有状況について、表3.2-13に示すように所属機関別に分類を行った。なお、本報告書に記載がないもので、「横断的手法による21世紀の海洋利用技術創出に関する調査研究委員会」の委員よりコメントの得られた一部の船舶についても、表への付加を行った。省庁別に船舶数を比較すると、文部省および水産庁が14隻で最も多く、次いで気象庁(6隻)、海洋科学技術センターおよび海上保安庁水路部(それぞれ5隻)、金属鉱業事業団(2隻)となっている。防衛庁も5隻の船舶を保有しているが、今回抽出した研究開発プロジェクトとの関連性は低い。

 

(2) プロジェクト数と船舶保有数の関係

前項までに取り上げた、平成8年度における各省庁別のプロジェクト数と船舶保有数の関係を表3.2-14にまとめた。なお、プロジェクト数には、前述の表中の全てのプロジェクトをカウントした。

船舶保有数の最も多い文部省については、今回の調査の範疇からは除外しているため、一部のプロジェクト以外カウントしておらず、したがって考察の対象外とした。表3.2-14には、海洋に関連した全ての分野についてプロジェクト数をカウントしたが、実際に特に船舶を必要とする分野としては、「海洋科学」および「地球環境問題」関連のプロジェクトが挙げられる。これら2つの分野について単純にプロジェクト数を加算すると、科学技術庁が78件で最も多く、次いで農林水産省(45件)、運輸省(40件)、通商産業省(33件)、環境庁(16件)の順になる。これらの数字の比較からは、我が国の海洋関連プロジェクトの実態と、船舶の運用状況との間には相関がみられないことが明らかである。実際には各省庁におけるプロジェクトの性格や船舶の運用方法に相当の違いがあるために、単純な数字の比較だけでは問題が生じることも事実である。しかしながら、各省庁が横断的により効率的な船舶の運用方法を生み出せれば、我が国の海洋関連プロジェクトの進展にも大きく寄与するものと考えられる。

 

 

 

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