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6.3 高度造船CIM実現時の業務イメージと基盤情報技術の関係

6.1に示した高度造船CIMの基盤情報技術と、6.2で示したその実現時の業務イメージ(業務変革キーワード)との関係を表6.3-1に示す。この表で◎で示すものはは業務イメージの実現に対してその基盤情報技術が大きく寄与することを示し、○は◎程ではないまでも実現にある程度寄与することを示す。

この表を縦軸方向に眺めると、CIMの根幹をなすプロダクトモデリング技術が各業務分野におけるほぼ全ての変革に寄与するうえ、◎が多いことから寄与の度合いも高いことが分かる。同様に、分散オブジェクト技術も多くの変革に寄与していることも分かる。ただし、分散オブジェクト技術の場合、市販システムや既存アプリケーションとの連携を実現するという役割から、主として設計関係に大きく寄与すると考えられ、一方、プロセスモデリング技術及びエージェント技術は、機能設計における業務変革に寄与していることが分かる。これは、機能設計においては試行錯誤が多く、また、情報及び知識の共有化のために作業者間でタイムリーに情報が伝達されることが必要なためである。それ以外の分野においても、業務変革のためには情報及び知識の共有化は必要であるが、比較的定型的な情報伝達が多いので、プロセスモデリング技術やエージェント技術よりも電子メールその他の既に実用レベルになっている情報技術の有効活用が重要と考えられる。

6.2で示した変革に対して、高度造船CIMの基盤情報技術が大きく寄与することはこの表から明らかであり、これを裏返せば、分散オブジェクト技術、プロダクトモデリング技術、プロセスモデリング技術、エージェント技術といった高度造船CIMの基盤情報技術がこのような変革を成し遂げるために必須の技術であると言うことができる。

前述のように、これらの業務変革キーワードに明確な裏付けはなく、個々のキーワードに対しては異論もあるとは思われるが、総論としては将来的にこのような方向に変化していくものと思われる。ここでリストアップしたキーワードには、高度造船CIMの開発研究が完了した時点ですぐにも実現できるものもあれば、実現のためには本開発研究による成果を基に更に研究や開発を続けていく必要があるものまで含まれている。従って、個々のキーワードについての内容よりも、上述のような全体としての傾向をにらみ、目標とする業務分野の改革のためにはどのような基盤情報技術が必要であるかをつかむことが重要と考えられる。

 

 

 

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