(4) 編集作業
工程設計アプリケーションによる作業は、中間製品による部品組立ツリー及び論理作業による作業手順のネットワークの作成・編集が対象となる。両者は互いに関連を持っているため、必要に応じて入れ替えながら双方の編集を進め、ここで開先情報など生産設計に関する情報が生成・付加される。
また、作業対象は船殻のみ、艤装のみ、船殻と艤装の両者を対象とする場合に分かれる。いずれの作業についても対話編集と自動生成の2つのモードを使って行われる。
(a) 対話編集モード
作業の基本となる編集方法でエディタ画面を見ながら作業者自身が個々の要素の生成・移動・修正を行いネットワークを操作する。また、工場資源への割り付けや設備等の制約のチェックを行う機能も持つ。
(b) 自動生成モード
船殻・艤装それぞれについての業務知識の知識ベースを用いてネットワークの自動生成を行う。ネットワーク上の対象となる要素範囲や適切なルールを選択して実行する。特に、自動生成の実行対象となりにくいものや例外的な要素については、対話方式で編集・修正を行う。
(5) 評価
編集・検討が終了した作業結果については、スロット形状と工法の整合性など各種の制約のチェックを行った後、一旦アプリケーション内に保存する。アプリケーション内では複数の検討結果を保存してこれらの比較・評価が行われる。
(6) 作業終了
検討の結果採用となった結果はPMへ戻され、操業計画や作業指示などに利用される。
また、汎用性のある結果についてはテンプレートとして保存し次の作業に利用される。
5.3.4 システム構成
工程設計アプリケーションでは、可能な限り市販のツールを用いて効率的に構築することを考慮した。そこで、設計効率化のための自動設計機能を実現するために知識ベースシステム構築支援ツール(知識表現言語)KBMSを採用し、ユーザーに対して工程設計結果を見易く表示するためにのGUIとしてAutoCADを採用した。ここでは、本システムの核となる知識ベースシステム及び全体システム構成について述べる。
(1) 知識ベースシステム
本システムでは自動工程設計機能の実現が望まれている。このような機能は一般に知識ベースシステムと呼ばれる。これは専門家の持っているノウハウをコンピューターに格納し、これを利用して推論を行い、専門的かつ高度な問題を専門家と同等の能力で解決するシステムである。このようなシステムの実装には、従来の手続き型言語によるものと、知識表現言語によるものが考えられる。前者はアルゴリズム内に知識を埋め込むためにプログラムが複雑になるのに対し、後者では知識とアルゴリズムが分かれているため、知識を整理するだけで知識ベースシステムの構築が可能である。そのため、自動工程設計機能の実現のために知識表現言語による実装を行うこととし、PC(Windows)上で構築できる知識表現言語としてKBMSを採用した。