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3]調製法の影響

図4.2-20〜23に種々の条件下で調製したMn-Zr-OのNO吸着試験結果を示した。

前述したように、Mn2O3・2ZrO2(350℃、450℃、550℃、650℃焼成)のTEM分析結果から、全ての焼成温度でMn2O3・2ZrO2粒子中にロッド状の結晶の塊が存在することが観察された。表面積を増加するという観点から、この塊の形成を防ぐことを目的としてAr雰囲気下で室温にて沈殿を熟成する方法と、途中で100℃程度の熱をかけ還流・熟成を行う2通りの手順でMn2O3・2ZrO2(Mn/Zr=1/1)の調製を行った(それぞれMn2O3・2ZrO2(Ar中)、Mn2O3・2ZrO2(boil) と表記する)。

また、以下に示す通りスプレードライ法による調製も試みた。Ar雰囲気下で混合・撹拌した溶液を市販のスプレー容器に入れ、熱したステンレス板に噴霧して乾燥させMn2O3・2ZrO2を調製した。スプレーを用いて金属板に噴霧し瞬時に蒸発乾固させることにより、より細かい粒子のMn2O3・2ZrO2が得られるのではないかと考えた。ホットプレートに金属板をのせ金属板の温度特性を測定した。次に温度特性に従い金属板が200℃程度になるように熱し、そこに混合溶液をスプレーにて噴霧した。板上で蒸発乾固させ、析出したMn2O3・2ZrO2(噴霧)を回収した。

図4.2-23に示すように、Mn2O3・2ZrO2(Ar中)の方が若干ではあるがMn2O3・2ZrO2(Mn/Zr=1/1)より吸着量が増大した。TEM分析結果より、Mn2O3・2ZrO2(Mn/Zr=1/1)に存在した塊は、Mn2O3・2ZrO2(Ar中)では確認されなかったため、この影響により吸着量が増加したのではないかと考える。また、Mn2O3・2ZrO2(boil)はほとんど変化が見られなかった。比表面積測定結果とも良い一致を示す。

一方、NO昇温吸着試験の結果から、水蒸気の存在しない条件ではステンレス板スプレードライで調製したMn2O3・2ZrO2のNOx吸着量は以前のように開放系で調製したものより若干多くなっており、スプレードライ法で蒸発乾固させることにより粒子は小さくなっているのではないかと考えられる。これは比表面積測定結果からも推測される。

しかしながら、水蒸気存在下では他の調製方法に比べ吸着量は著しく低下しており、水の影響を大きく受けることがわかった。この点に関しては現状では明らかになっていないが、おそらく焼成条件が他のサンプルと異なるために、Mnが十分に結晶化しておらず、NOの酸化活性が低いことなどが考えられる。

 

 

 

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