Mn-Zr-O上でのNO吸着は以下のように進行すると考えられる。
(1)Mn上でのNOの酸化によるNO2 の生成
(2)ZrO2上へのNO2の吸着
したがってこのことから本条件下では水蒸気存在下でもNOの酸化が律速になっていないことが予想される。
実際にこのときの排ガス中のNOとNO2の組成を検討した結果(図4.2-17)、水蒸気が存在した時でも高温で排出されるNOxはほぼ図4.2-18に示すような平衡に到達しているが、低温時に吸着しきれないNOxはほぼNO2であることがわかる。また、各温度でNOx吸着が飽和に達した後にNO酸化活性を測定したところ水が存在する場合にはかなりNO酸化が抑制されている。にもかかわらずNOとNO2とで吸着にほとんど差がみられないことから、本反応条件本条件下では水蒸気存在下でもNOの酸化が律速になっておらず、むしろNO2の吸着が律速であると考えられる。
図4.2-19に示すように100℃、200℃、300℃それぞれで恒温吸着試験を行った。水蒸気が存在しない条件下では吸着温度が高くなるに従って吸着量は減少してるが、水蒸気が存在すると200℃が一番吸着量が多くなっているのがわかる。
また、NO2=1,000ppm(H2O=10%)でも恒温吸着を行い、NO=1,000ppmの吸着挙動と比較したところ、200℃前後での吸着に若干の改善が見られたがNOとNO2ガスによる挙動の違いはあまりなかった。したがって、本実験条件下では、200℃以上の温度域では律速はNO2の生成ではなくNO2の吸着になっているため、ZrO2の比表面積が重要であると結論できる。
そこで次に調製方法を種々変化させて表面積の異なるMn-Zr-Oを調製することを試みた。