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(2)船舶におけるNOx低減技術の研究開発の現状

(a)舶用ディーゼル機関のNOx低減技術

図2.3-1に舶用ディーゼル機関における低NOx化技術を示す。図中で二重枠で囲んだ項目が特に有効であると考えられている。これらの方法の評価を表2.3-1に示す。機関の信頼性、耐久性に影響を与えない低減技術即ち燃焼系の改善が基本となっているが、燃焼の改善だけでは不十分であるため次節に述べるアンモニア-SCR法による除去方法が注目をあびている。

 

(b)アンモニア-SCR法の船舶への適用上の課題点

アンモニア-SCR法の船舶への適用上の課題点ついて以下に示す。例えば10MW陸上の発電用ディーゼルのSCR法によるものでは、脱硝装置そのものだけでも、エンジンに比べ面積で約1/2、高さで2倍以上になってしまう。この容積は陸上の固定発生源では特に問題にはならないが、船内という限られたスペースの場合には非常に大きな問題である。実船への搭載例が既にあることから、舶用として不可能でははないが、今後の小型化が重要な課題であろう。

また、アンモニアは非常に有害な物質であるため、船内での取扱いには十分注意する必要がある。また、燃料中の重油には通常多量の硫黄分が含まれているため、未反応アンモニアが低温で硫安あるいは酸性硫安を生成し、配管系のの腐食あるいは通気抵抗の増大の原因となる。このような観点で、アンモニア系以外の代替還元剤や新規脱硝技術の開発が必要である。現状ではアンモニアと同等の還元性能を示す尿素を用いた選択還元が主に検討されている。

また、排ガスの温度は触媒が有効に作動するおおよそ300〜400℃の範囲にあることが望ましいが、最近のディーゼル機関では過給器出口の排ガス温度が低くなる傾向にあるため、特に2サイクル機関ではエンジンと過給器の間に脱硝装置を設ける必要があり、排気系統の煩雑化につながる。いずれの場合にも、反応温度の確保あるいはアンモニウム塩の析出防止のために排ガスの温度コントロールが必要であり、場合によっては過給器下流での排ガス再加熱等による温度制御を考える必要がある。

 

 

 

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