火災
集合住宅 市営団地最上階における火災
大津市消防本部(滋賀)
はじめに
本市は滋賀県庁の所在地で、本州のほぼ中央に位置し、琵琶湖国定公園の西南端にあって、京阪神、中京及び北陸の三経済圏の「かなめ」に位置し、東に琵琶湖、西に比良山系を有しており、夏、冬を問わずレジャー客が多数訪れる観光都市として発展してきたが、近年、湖岸の埋め立てや山間部の造成等の宅地開発により、京阪神のベッドタウンとしての側面も持つようになってきた。
管轄区域は、市の北側に隣接する志賀町との業務委託により、琵琶湖の西岸地域の半数以上を担当している。南北に約六〇km、東西に約二〇kmと細長い地形のため、一本部、四署、一分署、三出張所、職員二七二人、二消防団、三四分団、団員一、二三〇人(志賀町含む)の体制で対応している。なお、当本部は四月一日から大津市消防局に生まれ変わります。
ここに紹介する事例は、五階建ての建築物が建ち並ぶ市営団地の最上階から夜間に出火し、一棟部分焼(一世帯全損)の他、一三世帯が水損し、出火室に居住する女性一人が亡くなった火災である。
一 火災の概要
(一) 出火日時
平成一〇年二月二四日(火) 午後九時五〇分頃
(二) 出火場所
大津市錦織一丁目二二-一 市営水車谷団地五号棟五階
(三) 覚知時間
午後九時五八分(一一九)
(四) 鎮圧時間
午後一〇時二〇分
(五) 鎮火時間
午後一〇時四七分
(六) 気象状況
天候 雨
気温 八度
湿度 八九%
風向 東
風速 五m/s
(七) 焼損程度
部分焼 一棟(延一、三三六m2)
焼損面積 四八m2
(八) 罹災世帯
一四世帯
(全損 八世帯)
(部分損 六世帯)
(九) 損害額
一一、〇七九千円
(一〇) 死傷者
一人(死者)
(一一) 出火原因
不明
(一二) 出動車両及び人員
消防署 九台 二九人
消防団 二台 六一人
二 付近の状況
現場は大津市中消防署から北西へ約一kmに位置する丘陵地で、約二五年前から大津市が市営団地を計画、随時建築され、現在五棟が建ち並び、出火した五号棟は市営団地の東端で、南側は四mの道路を挟んで一般住宅が建ち、東側に西大津バイパス、北側には市道、河川を隔てて近江神宮の裏山が広がっているところである。出火した五号棟は鉄筋コンクリート造五階建で各階六室、合計三〇室で、屋外階段が三か所設けてある。出火室は最上階の東側から二室目の五五号室である。
三 活動の概要
指令室が発した「中高層火災第一出動」の指令書に基づき、直近署の中消防署から現場の狭隘な道路状況を考慮し、梯子車、タンク車、ポンプ車、救助工作車、救急車の順位で直ちに出動。出動途上において五号棟五階開口部から激しく火炎が噴出しているのを確認、指令室へ連絡しつつ現場到着。現場南側の道路の駐車車両は住民により移動中であったが、いぜん数台の車両が認められた。梯子車設定場所が当該道路しかないため進入を試みるが、駐車車両が阻害となり有効な設定場所へ部署