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加世田地区消防組合消防本部(鹿児島)

 

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当本部が管轄する加世田地区は、薩摩半島西部に位置し、古事記にも登場する神話の古里「笠沙町」、日本一早い走り新茶とポンカンの町「大浦町」、超早場米「金峰コシヒカリ」の穀倉産地「金峰町」、そして、二〇〇一年に世界サイクルサッカー選手権大会が開催される「加世田市」の一市三町から構成されている。

また、総面積二二四・六九km2、総人口四〇、〇八五人の当地区は、内陸部を薩摩半島中央を縦断する金峰山系、長屋・蔵冬山系に抱かれ、海浜部は吹上砂丘から野間半島に連なる自然に恵まれ、この日本三大砂丘の一つである吹上砂丘のサンドクラフト(砂の祭典、写真)は本年で一二回を迎え、自然地理上の恵まれた特徴と、優れた景観美を持つ美しい地域である。

昭和四三年四月に加世田市消防本部が発足、昭和五一年四月に広域消防として、加世田地区消防組合消防本部となり再発足し、現在では、一本部・一消防署・二分遣所、職員七三人、団員七一四人体制で消防防災の任に当たっている。

 

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・ 管民一体で自然災害に備えを

当地区は、過去に多くの自然災害による被害を受けており、特に台風による被害は大きいものがあり、年平均二・一個ではあるが、本土に襲来した台風の約六割を占めている。特に、平成五年の台風一三号は、薩摩半島山川付近に上陸し、県内全域を暴風雨に巻き込み、各地で水害や土砂災害を起こし甚大な被害をもたらし、管内の金峰町では、土砂災害により二一人の尊い人命が奪われ、被害総額六六億八千万円にものぼる大災害となった。

このような大災害に備え、昭和五八年から加世田川の拡幅工事等を行い、現在でも、万之瀬川の改修工事を行っている。

また、消防本部でも、消防団との協調と合わせ、医療機関等各関係機関との協力、連携を密にし、自主防災機能の向上など、官民一体での地域の安全確保を図っている。

 

・ 地域行事で応急手当て普及

当消防組合では、地域の諸行事などに積極的に参画し、防火防災行事を合同で実施することに取り組み、七年前から加世田地区消防組合防火ゲートボール大会を実施し、昨年からは隔年ごとにグランドゴルフも取り入れ、昨年は、五四チームもの参加があり、大会の合間に救急救命士による救急講習や火災予防啓発を行い、応急手当の必要性等消防に対する住民の深い理解を得ている。また、前述のサンドクラフトヘの参加、事業所通報及び屋内消火栓競技大会、毎回多くの参加希望者のある幼年消防クラブ大会などを通し、住民、事業所と行政が一体となった防火防災体制の確立に努めている。

 

・ 職員の高齢化対策

当地区では、六五歳以上の人口が全体の四二%を占め、県下でも二番の高齢化の進む大浦町をはじめ、地区全体の高齢化が進んでいるが、消防職員についても今後高齢化が進むことから、平成六年に消防職員の受入れに関する協定書を構成市町及び一部事務組合と結び、年次計画に基づき人事交流を図るなど、組織的に体力の維持・向上に努め、消防装備の軽量・動力化を進め、活力ある消防組合の組織づくりを図っている。

 

・ 住居の付託に応えるために

有上消防長は、「心身の健康と明るい職場のもとに、技術向上、迅速的確な判断、安全確実な行動が得られ、警防体制も確立される。また、消防職員・団員の協調のもと、官民一体となって地域の安全確保を樹立していかなければならない。」と結ばれ、行政、企業、住民等の枠を越え、地域が一体となった防火防災体制の推進に一層の磨きがかかるものと確信した。

(青山 直昭)

 

 

 

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