丹羽消防組合消防本部が管轄する丹羽郡は、愛知県の北西部、犬山扇状地にあり、大口町、扶桑町の二町で構成されている。この一帯は守口大根の産地として有名で全生産量の六五%を占めている。守口大根は世界的にも珍しい大根で、直径は二cm前後で長さは一・五〜二・○m、特定の土壌にしか育たず、その用途は漬物に限られている。味醂酒粕で三年間寝かせられ琥珀色の守口漬となる。また、この地は、「裁断橋物語」で有名な堀尾金助とその母の出生地でもあり、現在、堀尾跡公園には、金助の母が二度目に架け替えた裁断橋が復元されている。
消防本部は、昭和五〇年一〇月一日に大口町、扶桑町の二町による一部事務組合として一本部・一署、職員一六人で発足した。平成八年四月扶桑町に扶桑出張所が、平成一〇年四月大口町に大口出張所がそれぞれ開設され、現在、一本部・一署・二出張所体制で、職員は七一人となった。管内面積は二四・七六km2、人口は五一、四四〇人である。最近の災害状況は、五年間の平均で火災は二八・八件、救急出場は九二四・二件、管内住民の日頃の心掛けもあり、過去に特異な災害はなく、比較的平和な街であるとのことである。
・ 「一日女性消防官」について
当消防本部では、昭和五二年から春の火災予防運動行事の一環として、「一日女性消防官」を実施している。これは、管内に在住または在勤の一八〜六〇歳の女性に消防官を体験してもらうもの。この行事は、家事を行っている主婦や日頃、消防という組織に接することの少ないOLなどの女性に消防の仕事を理解してもらうもの。まず始めに消防長による防火講話を行い、その後、初期消火訓練や応急救護訓練、管内事業所の立入検査等を行っている。行事後の感想では、「これで、何かあった時、救護を慌てずにできます。」とか、「消防の仕事の大変さが良くわかりました。」といった声が寄せられている。中には、「来年もまた、ぜひ来てみたい。」といった声もあり、消防の理解者を増やすためにも継続的に行っていきますとのことである。
・ 幼少年消防クラブの育成
当本部では、現在、幼少年クラブの育成に力を入れている。これは、阪神・淡路大震災時、地域住民が協力して災害に対処し被害を軽減した教訓から、地域の防災行動力を向上させるため実施している。具体的には、平成七年以降、三つの少年消防クラブを新たに誕生させた。少年消防クラブでは、町内の夜回りや救急講習会、消防学校への一日体験入学、管内事業所での鼓笛演奏などを定期的に行っている。また、毎年、秋の火災予防運動前には、少年消防クラブ員やそのお母さん方も参加して「子供消防広場」を開催している。これは、子供たちに遊びながら消防の器具等を知ってもらおうと企画されたもの。煙体験や消防クイズ、腹話術による防火教室、口ープ登り、梯子車の試乗などを行っている。