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ワンポイント 消防職員のための法令用語解説

 

地方分権推進法 (三)

 

七 地方分権の推進に関する基本方針

地方分権の推進に関して、法は、国と地方公共団体との役割分担について定めている(法四条)。

それによると、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担うことになっている(法四条前段)。

それに対し、地方公共団体においては住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨とするとしている(法四条後段)。

このように国の役割を限定し、住民に身近な行政は、原則として地方公共団体が行うべきことを旨とすることを、法が定めていることを重視しなければならない。

次に、地方分権の推進に関する国の施策としては、右の役割分担をふまえて、地方公共団体への権限の委譲を推進すると共に、地方公共団体に対する国の関与、心置規制、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務及び地方公共団体に対する国の負担金、補助金等の支出金の地方自治の確立を図る観点からの整理及び合理化その他の措置を講ずるものとすることになっている(法五条)。

このように、法で、具体的に、国の施策について定めているので、国は、その施策を進めていかなければならない。

さらに、国は、地方公共団体が事務事業を自主的自立的に執行できるよう地方税財源の充実確保を図るものとする(法六条)ことにしている。

このようにして、法は地方分権推進の実効性を考慮している。

他方、地方公共団体は、行政及び財政の改革を推進するとともに、行政の公正の確保と透明性の向上及び住民参加の充実のための措置その他の必要な措置を講ずることにより、地方分権の推進に応じた地方公共団体の行政体制の整備及び確立を図るものとすることになっている(法七条一項)。

このように地方分権の推進を進めるために、地方公共団体が力をつけなければならないことを予定している。そのための国の支援についても定められている。

 

八 地方分権推進計画

政府は、地方分権の推進に関する基本方針に即し、地方分権推進計画を作成しなければならない。これは、閣議決定をし、国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない(法八条)となっていて、強い意気込みが感じられる。

 

九 地方分権推進委員会

総理府に地方分権推進委員会を置く(法九条)。委員会は、地方分権の推進に関する基本的事項について調査審議し、指針を内閣総理大臣に勧告し、また、施策の実施状況を監視し、意見をのべる(法一〇条)。内閣総理大臣は、この勧告、意見を尊重しなければならない(法一一条)。

法は、政令で定める日(平成七年七月三日)から起算して五年を経過した日に効力を失う時限立法である(平成一二年七月二日限り)。

この期間内に地方分権を推進しようとする意気込みの現れである。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

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