火災
住宅街に隣接する殺虫剤製造工場火災
加古川市消防本部(兵庫)
はじめに
当市は、兵庫県の南部で、播磨平野のやや東部に位置し、県下最大の河川「加古川」が市の中心を貫流し、南は、瀬戸内海に面する東播磨の中核都市である。南部の海岸線には、石油コンビナート等特別防災区域に指定された工業地帯があり、中央には、商業施設が集積する中心市街地及び高度成長期を通じて開発された住居地域がある。北部には、伝統的な農村地域、豊かな自然に囲まれた山間丘陵地帯と多様な特性をもった地域が形成されている。消防の管轄面積は、隣接する加古郡稲美可及び播磨町の事務委託を受け、一八二・五四km2、人口は三三万人余りとなっている。
本市消防本部の体制は、一本部、二消防署、六分署で職員数は二八三人である。
ここで紹介する事例は、戦後まもなく建築された木造の殺虫剤製造工場火災である。延焼速度が速く、製品である殺虫スプレー缶の飛散により、消火活動に困難を来たした火災である。
一 火災の概要
(一) 発生日時
平成一〇年二月二〇日五時一〇分頃
(二) 発生場所
加古川市平岡町土山
(三) 時間経過
覚知 五時二二分
現場到着 五時三〇分
二次出場 五時三五分
鎮圧 七時四分
鎮火 一一時五一分
(四) 気象状況
天候雨 風向北東 風速一・二m/s 気温一二・六℃ 湿度九三・三%
(五) 焼損状況
全焼八棟 部分焼四棟
焼損面積 一、六六八m2
損害額 一億一、九四七万円
(六) 出場車両及び人員
消防署 一六台 七五人
消防団 二台 一〇人
二 出火建物概要
出火建物は、昭和二〇年に木造板張りスレート葺平屋建の作業場(蚊取線香混合場)として建築された。その後、昭和五五年及び五六年に鉄骨造の原料置場が増築され、延面積は三一五m2である。