日本財団 図書館


Hello Firefighter

 

022-1.gif

女優 市毛 良枝さん

 

"いのちの大切さ"

テレビドラマで医師を演じた俳優がよく口にする言葉が、「仕事を離れても気になるのが救急車のピーポーピーポーという音です」。NHK大河ドラマ「いのち」で女医に取り組んだ三田佳子さんが「夜、寝ていてもあの音で目がさめるんですよ」と話していた。最近では昼の連続ドラマ「白衣のふたり」(フジテレビ)の救急救命医療に献身した院長役岡田真澄さんも、「救急車の音を聞くとドキッとします」と言っていた。医師にとって救急車は一番身近かな存在である。

市毛良枝さんも、救急車の音を気にする一人。市毛さんは日本テレビの火曜サスペンス劇場「いのち」に出演した。初めての産婦人科医役だった。「お医者さんの動きをビデオで見ていろいろ勉強しました」。ドラマは病院に到着した救急車で始まった。急患として担つぎ込まれた女性は、結婚に反対されて二年前家を飛び出した娘だった。娘は妊娠していた。そして、殺人の容疑をかけられていた。わが子の疑いを晴らそうと母は立ち上がるというストーリー。命の大切さも訴えるドラマだった。

市毛さんは昭和46年、「冬の華」(TBS)でデビュー。どこにでもいる普通の人という感じだった。それが「私は泣かない」(フジテレビ)などの嫁姑シリーズで主役を務めてから「理想の嫁さん」と言われるようになった。その後は二時間ドラマの常連。

市毛さんは最近、命をテーマにしたドラマに出ることが多い。昨年は「命燃えて」(TBS)で脳腫瘍の息子を持つ母親を演じた。「辛いけれど日常では笑っている。そんな場面が何回も出てくるんです。落ち込んでいる中での人間の持つ力強さ、勇気、明るさ、優しさを懸命に演じました」

市毛さんの実家は代々お医者さんだった。「両親は私を女医さんにしようと考えていたようです。それが女優になってしまい、親不孝しました」と、以前話していたことがあった。命を救い、大切にする─それは市毛家の家訓といえるかもしれない。市毛さんはそれをしっかりと守っている。

(インタビュー・編集部)

 

 

 

前ページ   目次へ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION