WORLD-WIDE RESCUE '98
(世界へはばたくレスキュー '98)
1998.8.28 大阪市消防学校
自治体消防発足五十年にあたる記念すべき年に、第二十七回全国消防救助技術大会が去る八月二十八日、大阪市消防学校において、谷合消防庁長官をはじめ多くの来賓を迎えて、「ワールド・ワイド・レスキュー '98」をスローガンに盛大に挙行された。
この大会は、(財)全国消防協会の主催により、自治省消防庁、全国消防長会、日本財団の後援を得て、全国の救助隊員が一堂に会し、日頃、鍛え抜かれた消防救助技術を遺憾なく発揮し、堂々と力一杯、訓練の成果を披露するとともに、日々複雑多様化する各種の災害に即応できる能力及び技術研鑽の場として、昭和四十七年から毎年開催している。
全国消防救助技術大会が今回で七年ぶり五回目の開催となる大阪市は、昨年「なみはや国体」と「ふれ愛ぴっく大阪」を成功裡に終わらせ、さらに二〇〇八年オリンピックの開催を目指し「地球市民のオリンピック」を基本理念とし、「国際集客都市大阪」の実現に努めるとともに、願ったことがかなう「Can do」のまち「感動シティ大阪」としてさらなる発展を続けている。
大会当日は、台風4号の影響で朝から雨に見舞われたが、早朝より全国から応援に駆け付けた一般市民や消防関係者等約二、五〇〇人て埋めつくされた会場は、開会前から熱気と興奮に包まれた。
定刻の九時〇〇分、全国九地区支部から選抜された精鋭救助隊員の威風堂々とした入場行進が開始され、大会運営委員長である池田大阪市消防局長が声高らかに開会を宣言し、第二十七回全国消防救助技術大会の幕が開けられた。
開会式ははじめに、消防使命達成のため殉職された消防職員の御霊に対し黙とうを捧げ、国旗・大会旗・市旗を掲揚後、大井(財)全国消防協会会長、磯村大阪市長のあいさつ、谷合消防庁長官(代理・滝沢消防庁次長)、横山大阪府知事(代理・金盛大阪府副知事)、太田大阪市会議長(代理・加藤大阪市会副議長)の祝辞、そして多数の方々の祝電を代表して西田自治大臣の祝電披露と続き、木戸北九州市消防局長が審判長指示を行った後、出場隊員を代表して、大阪市消防局の槇得順一隊員から「安全・確実・迅速を旨とし正々堂々と訓練します」と力強い宣誓が行われた。
開会式終了後、訓練が始まるまでの間、梅花女子大学チアリーディンク部「レイダース」による華麗でスリルある特別演技が行われ、緊張感が張り詰めた会場の雰囲気を和らげた。
引き続き、政府開発援助の一環として国際協力事業団(JICA)が実施している集団研修に参加し、北九州市消防局と大阪市消防局で、消火及び救急・救助技術の研修を行っている海外研修生十九名が、「世界へはばたくレスキュー '98」のスローガンに相応しく、車両火災の消火と人命救助の特別訓練を実施し、現在学んでいる消火技術と救急救助技術の研修成果を披露した。
いよいよ、訓練の幕開けである。
陸上の部九種目・水上の部七種目にエントリーする全国九三九名の隊員たちが、高鳴る鼓動と緊張の中で、救助隊員である誇りを胸に筋書きのない感動のドラマを演じていく。
訓練が開始されると、会場を埋めつくした見学者から、隊員たちの躍動的で、またある時は繊細な姿に惜しみない拍手と張り裂けんばかりの声援が送られ、隊員たちも、これに応えるかのように、ファイト溢れる闘志で日頃の訓練成果を披露した。朝からぐずついていた天候も、昼近くになると回復し、ムードは一段と盛り上がり、隊員と見学者がひとつとなってつくりあげた全国大会となった。
会場周辺では、訓練を終えた救助隊員がお互いの健闘を讃え合う姿や再会を誓い合う姿が随所で見受けられ、全国救助隊員の友好の輪は、またひとつ大きなものとなった。
訓練終了後、閉会式までのひととき、大阪市消防音楽隊とカラーガード隊「ファイア・フェニックス」により華麗なドリル演技が行われ、つい先ほどまで緊張と興奮に包まれていた会場の雰囲気を解きほどいた。
閉会式では、大井会長から「規律厳正、士気旺盛にして、錬度の高い救助技術が披露された。本大会へ出場するまでの長期間、厳しい訓練を積み重ねてこられたことに敬意を表するとともに、今後も地域住民の負託に応えられるよう、より一層の救助技術の錬磨研鑽に努めていただきたい。」との講評があった。
国旗降納に続き、大会旗が池田大阪市消防局長から次回開催の西村横浜市消防局長に手渡され、堅い握手が交わされた後、池田大阪市消防局長が閉会を宣言すると「横浜であいましょう」の横断幕が掲げられ、第二十七回大会は終演を迎え、主役を演じた隊員たちの長く厳しかった夏に幕が降ろされた。
猛暑の中で、会場設営及び大会の運営に当たられました大阪市及び大阪市消防局に対し、衷心より感謝申し上げます。