第5章 技能指導の要点
第1節 礼法・基本技術とその練習法
1 礼法とその練習法
空手道では、空手の技術とともに、礼法や道場における態度(広義には、道場を離れた生活態度)なども含めて身につけることを目的としている。
礼法とは礼のしかたのことであり、本来相手に対して心から敬意を表すもので、それにふさわしい動作が必要である。しかし空手道のような武道のなかには、護身のための動作が礼のなかに組み入れられている場合がある。例えば、座礼では一般的には両手を一緒につくが、空手道(全空連)では、手をつくとき、利き腕が最後になるように、左手、右手と片手ずつつき、手を上げるときは逆にする。これは相手が攻撃を仕掛けてきたときに、すぐに利き腕が使えるためである。このように空手道における礼法に関しては、護身を念頭にみていく必要があろう。
(1) 正座と座礼
(ア) 正座の座り方
上体を、最後まで崩さないようにして座る。立つ時も同じ。腰を曲げたりしない。手をつくと姿勢が乱れ、不意の攻撃に対しても対応できない。正面を向いて、姿勢を崩さないで座ることは、相手が攻撃してきた時の護身にもかなっている。
1]左足をわずかに引く。
2]左膝をつける。
3]右膝を床につけ、左膝に揃える。
4]親指を重ねるか、揃えて腰をおろす。
正座したときの両膝頭は、拳が1〜2個入る程度に開く。両手は、腿のつけ根の近くに、指先を内側に向けておく。