第3章 指導計画と学習指導
第1節 指導計画と作成上の留意点
1 年間計画作成上の留意点
年間計画を作成することは、空手道の学習指導を年間を通して効果的に進めるための見通しを立てることである。それは単に年間の見通しを持つだけでなく、空手道の指導のねらいを達成しやすいように学習内容を構成し、それに基づいて学習させたいことがらを効果的におさえられるように考えられたものでなければならない。
空手道を、小学校体育の指導領域の「表現運動」の分野でとらえるか、あるいは「地域や学校の実態に応じて多様な運動も指導できるようにする」とした一項のなかで「武道」としてとらえるか、によって年間計画の内容は違ったものになるが、ここでは単独の年間計画ではなく、体育全体の年間計画作成の方針に従って作成されなければならない。その手順としては、体育の目標を重視し、他の運動領域や体育に関する知識・体育理論などとの関連を図って、年間計画作成の基本方針を決定し、それに基づく具体案を作成することが必要である。
(1) 指導目標の確認
空手道の年間計画の作成に当たって、まず重要なことは、その指導目標を具体的なものとして確認することである。体育の年間計画作成の基本方針の中で、空手道の特性を十分生かせるような指導目標を設定しなければならない。ここでは、空手道の技能の学習を通して健康の増進や体力の向上が図られるようにする。しかし、特に重要なことは、空手道の対人的技能や形技能を身につけ、空手道の楽しさや喜びを体験させて、生涯を通して空手道に親しむ態度や能力を育てることはもとより、相手を尊重する態度や公正な態度の育成など、人間形成につながる目標についても明確にしておくことである。
さらに、この指導目標の重点化を図るために、空手道に対する児童の経験や技能の程度、興味や関心などについての調査資料や空手道の学習に関する成果の状況や問題点についての資料なども活用することが必要である。
(2) 学習内容の具体化
小学校指導書保健体育編における各領域の内容を参考にして、より具体的な学習内容をおさえることが必要である。さらに、具体的には児童の実態、施設用具の整備状況および指導者組織などの諸条件を考慮して、空手道の指導目標の達成に必要な学習内容を構成する必要がある。