そのため、市町村等の防災担当者がどの時点でどのような活動を展開するべきかを自信をもって判断できず、状況がわかってから(=被害が発生してから)対応する、いわゆる「状況あと追い的対応」(危機管理の最も悪いパターン)に陥りがちになります。
本システムは、土砂災害発生危険度の各レベルに対応して市町村、消防本部、住民等が今とるべき対策を指示することにより、この問題を解決しています。
(2) 市町村等の地域特性・防災特性に対応した実践的な対策を指示
(1)で述べた活動体制・配備体制は市町村等によって異なります。また、避難の勧告・指示のタイミングも土砂災害危険箇所の数や避難所の整備状況、住民への情報伝達手段の整備状況、住民の防災知識・意識の状況、自主防災組織の結成状況などによっても異なります。
本システムでは、セットアップ時にこれらの条件を反映させ、運用時に実践的な対策を指示します。
2.2 リアルタイムで土砂災害発生危険度を把握
(1) 刻々変化する土砂災害発生危険度をリアルタイムで把握
これまでの豪雨災害では、何の変哲もない雨が30〜60分後には猛烈な雨に変わり、あっという間にあたりの様相を激変させ、各地で土砂災害を発生させています。そのため、豪雨時の土砂災害対策では、降雨状況に伴い刻々変化する土砂災害発生危険度を可能な限り迅速に把握することが必須となります。
本システムは、市町村等に設置された雨量計から直接データを収集するため、降雨状況や土砂災害発生危険度をリアルタイムで把握できます。
(2) 代表的な土砂災害危険予測方式の組み込み
本システムには、複数の代表的な土砂災害危険予測方式が組み込まれています。さらに、それぞれの方式を単独で適用するのではなく、それぞれの特性を考慮しつつ相互に組み合わせることにより、より信頼性の高い土砂災害発生危険度の把握を可能にしています。
(3)管内の雨量データを使用するため正確
本システムは、市町村等に設置された雨量計の観測データを用いますので管内の土砂災害発生危険度を正確に把握できます。