6. 省エネ住宅の実践
地球環境を守る市民の会 行徳事務所 高木史人
§ はじめに
“温室効果ガスの大幅な削減のためには、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会を見直し、ライアスタイルの転換を含めた社会システムの変革”が必要であるとよくいわれているが、具体的な行動となるとどこから着手したらいいのかとまどうことが多い。今日は、環境共生型戸建住宅(エコハウス)におけるエコロジカル・ライフスタイルについて報告します。
§ エコハウスに居住して
当エコハウスは、1997年3月に建設された木造2階建の住宅(延床面積183m2)。居住者は5人家族の一般的なサラリーマン家庭。自然エネルギーを活用した循環共生型のライフスタイルをめざした設備機器類(1]太陽光発電システム、2]太陽熱温水器、3]雨水利用システム、4]風力発電システム、5]ビオガーデン)を使用している。
(1)太陽光発電システム
定格出力3.58kWのソーラーパネル(55WX65枚)を、東南側の屋根に設置(面積約80m2)。リビングルームの壁面に、瞬時値と積算値の電力表示パネル、門の横には2つの積算電力計(通常の購入電力量の表示メーター:買電量・太陽光発電の余乗電力を東京電力に販売する電力量の表示メーター:売電量)が設置されている。
(2)太陽熱温水器
240lの真空式ソーラー温水器を南西側の屋根面に設置。温水は、風呂場、洗面所、台所へ送られている。
(3)雨水利用システム
屋根に降った雨水は5本の雨トイを伝って全て、庭に埋設した雨水貯留タンク(容量:4.2m3)に集められる。トイの端部に、初期の汚れた雨氷だけを下水に流す“分流器”がつけられているこタンクの雨水は、揚水ポンプを通じて庭の散水とトイレ(1,2階)水として使用。
(4)風力発電システム
庭に、定格出力が300Wの小型風力発電機(サウスウエスト・ウインドパワー社製、AIR303型)を、3本のステーを張った高さ10mのポールの先端に設置。ローターの直径は1.14m、動作風速3.0m/s、定格風速12.5 m/s、出力電圧12.0V。発電された電気は蓄電池に蓄えられ、フォトスイッチによって、日没から4時間庭園灯を点灯させている。
(5)ビオガーデン
ビオ(Bio)はドイツ語で生物という意味。ビオガーデンの直訳は“生物庭園”となるが、ここでは従来の造園的な庭園ではなく、“自然の要素を取り入れて人間と共にさまざまな生物が作り込んでゆく庭づくり”の意味として使っている。本タイルによるベランダ、マクラギを活用した家庭菜園、コンクリートではなく、レンガと小陶板による犬走り、台所の厨芥を土壌に替える“コンポスター”などが設置されている。