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一方、「里山」は本来、水田農耕を営む祖先の生業と結び付き、我が国特有の気候風土のもとで成立したものである。そのため、保全と維持・管理には多くの人手が必要である。昨今、これらの活動に「余暇活動」や「生きがい活動」などとして、参加を希望する声が急速に大きくなっている。そこで我々は、各地からの指導者の派遣要請と、市民ボランティアの育成などの要望に答えるため「里山管理指導者の養成」講座や「里山・公園管理プロジェクト」「稲作生態系保全プロジェクト」など、別紙のような活動に取り組んでいる。さらに我々は、日本の四季を彩る美しい「里山・田園景観の保全」とともに、メダカやトンボに代表される「身近な生き物の保全」、そして竹細工や藁細工、炭焼きなどの我が国の「伝統的(里山)文化の保全」など、それぞれのテーマに基づくプロジェクトを組織して、市民(国民)の要望に答えていきたいと考えている。これらの諸活動は、国内における自然環境保全事業に資するだけでなく、我が国の伝統的手法による新しい環境保全技術を確立し、その国際的な普及・啓発に取り組む事により、21世紀を展望した新たな国際環境ネットワークづくりをも可能とするものである。

 

2]ネットワークの目的

市民参加による「里山・田園環境の保全」活動は、全国の自然保護団体や環境NGOが取り組んでおり、中山間地域を含む各地の自治体の関心は極めて強い。兵庫県、滋賀県、愛知県などの府県レベルでの農林・.環境政策としての実施や三田市、八日市市、新朝日町などの市町村レベルでの「町づくり」としての取り組みも始まっている。中でも市民による「里山・公園管理」は、池田市に於ける我々の取り組みをモデルとして岸和田市、吹田市など大阪府下でもつぎつぎと立ち上げが行われている。防災、都市機能、アメニティーなど様々な課題を背負わされた都市近郊林の見直しが行われる中で、市民のボランティアによる里山管理の手法は、高齢化社会における市民の余暇活動や、市民や子供たちの環境教育の場、あるいは身近な生物保全対策や地域再生の切り札として急速に広がっている。

 

 

 

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