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9月26日(土)

 

 

1 シンポジウム

「育もう生きる力・考えよう家族の在り方」

 

司会者 福井県精神保健福祉センター所長 中川 博幾

シンポジスト 福井松原病院長 松原 六郎

国立舞鶴病院看護婦長 西村 佳子

全家連事務局長補佐 池末 美穂子

福井県精神障害者家族会連合会会長 山内 進

 

シンポジウム 「育もう生きる力・考えよう家族の在り方」

(財)松原病院 松原 六郎

 

最近、病院の心理士の先生の人数が増え、時々「並行面接」という方法をとることができるようになりました。それは、たとえば患者さんご本人の診察は医師が行い、それとは別に心理の先生がご家族との面接にあたるという方法です。申し訳ないことに忙しくてご家族とお会いしてじっくりお話をする時間のない私を我慢して許してくださっていたご家族にとっては願ってもないことのようです。もちろん、ご家族の疑問や希望は医師が責任をもってお聞きしなければならないのですが、それだけでは充分ではないのです。心理の先生方は、たとえば患者さんが発病した時に混乱し、狼狽したご家族の心の傷を癒すこともしてくれるのです。

一方、こんなこともありました。これまででしたら、不幸にして病気が再発しながら病院を受診しようとしなかった患者さんには、医師である自分がご自宅へ往診に出かけ、あるときには医師の権威を振り回し、なかば強引に病院までお連れしたりしました。ところが、ほんの最近のことですが、「精神科訪問看護婦」という部門ができてからは様子が違ってきました。ご本人がご自分から進んでご家族と一緒に受診してくださるということもおきてきたのです。もちろん、すべての患者さんではないのですが、大きな変化です。

これは、どういうわけかというと、訪問看護婦さんがお宅にお邪魔をし、ご本人のお気持をよく聞いて、帰り際には、ご家族のお話もお聞きするということをしてくれるからなのです。その結果、ご本人は医師という治療の権威者に対する恐怖心なく医療との関わりが持てるし、ご家族も精神的に退い詰められた感じを持たずに、何をするにも余裕を持って当たれるようになるようです。もちろん、私たち医者の権威主義的な態度にも問題がありましたが、訪問看護婦さんの持つ柔らかい雰囲気はご本人にもご家族にも良いようです。また、何よりもご家族ご自身が訪問看護婦さんによってこころのケアを受けられるようです。

このような経験から、今の精神科医療の現状を私は次のように分析しています。まず、これは私たち治療の仕事をしているものの責任なのですが、ご家族に対する心のケアの体制が不十分であるということは否定できないと思います。病院医師、看護婦、ケースワーカーだけではなく、精神保健センター、保健所にも窓口があっても家族相談として利用している方はまだ一部ですし、心理士によるカウンセリングを受けているご家族や精神科訪問看護を

 

 

 

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