1. 中国とインドの比較
すでに第3世界の人口の半分以上を含める中国とインドは、その人口規模がさらに増えながら中国に近づきつつある。水資源とその使用に関して、実質的にも表面的にも多くの面でこの両国はたいへん似通っている(表1参照)。中国はブラジル、ロシアに続き、世界でもカナダとともに第3に水資源が豊富な国であり、その次にインドネシア、米国と続いている。インドはこれに続き、7番目に水資源が豊かな国である。しかし中国とインドでは人口に差があるため、中国の一人当たりの使用水量は中国が2,200立方メートル/人/年と、インドの2,100立方メートル/人/年をわずかに上回っているのみである。どちらも世界平均の6,900立方メートル/人/年を大きく下回っているが、通常、深刻な水不足を示す1人あたり1,000立方メートル/人/年よりは上回っている。
しかし両国とも、この1,000立方メートル/人/年を下回る地域が存在する。中国では黄河流域が593立方メートル/人/年(1990年)(3)、北京、天津、河北、内蒙古、山西、山東、河南を含む北部が556立方メートル/人/年(1990年)となっている。(4)インドでは、南部のタミル・ナドゥ州とアンドラ・プラデシュ州のほとんどを占める流域と、インド西部のグジャラート州およびラジャスターン州南部が、1,000立方メートル/人/年未満か、絶対的な水不足(数値不明)に苦しんでいると、タタ(Tata)エネルギー研究所によって確認されている。(5)