そして、1974年に平常年としては初めて人口の自然増加率が2%を割り込んだ。その後、それは次第に低下して、年平均1.1〜1.4%ほどで変動したが、1980年代後半には再び若干上昇している。その上昇は、1960年代から70年代初めにかけての長期にわたる急速な人口増加のエコー効果によるものである。なお、1990年代に入ってからは、毎年1.1%程度の人口増加率で推移している。1970年代後半以降、中国の人口増加率が低下し、若干反動はあったもののずっと低い率で推移してきたのは、言うまでもなく、70年代初めから行なわれた人口抑制政策の結果である。
1998年に入って、中国では今世紀末と21世紀半ばまでの人口及び計画生育の目標を新たに打ち出している。それは第一は、2000年までに中国の人口を13億以内に抑えるということであり、第二は、2010年までに総人口を14億以内に抑えることであり、第三は、21世紀半ばには中国総人口がそのピーク(16億前後と推定されている)に達してから緩慢に低下するようになるということである。近年、中国の合計特殊出生率は置換え水準を下回っている。しかし、人口の規模が大きいため毎年2000万人前後の新生児が生れ、1300万人前後の純増が続いている。このような状況からして、今後数十年間中国人口は4億近くの増加が見込まれる。
国連の推計によると、表2に示されているように、今世紀末に中国の人口は13億を超えないことになる。2010年には高位推計で14億に近づいているが、中位と低位推計では13億6千万強と13億3千万近くになる。つまり、2010年までには高、中、低位ともに現在中国が掲げている目標値以内に収まることになる。なお、2050年には高位推計では17億を超えるようになり、中位推計でも15億を超えることになるが、低位推計では12億未満となる。また、高位推計では2050年までに中国の人口は増加を続けることになるが、中位推計では2040年以降に若干ではあるが減少に転じ、低位推計では2030年以降にもっと速いテンポで減少していくようになる。いずれにせよ、将来の中国人口の増加動向は、引き続く計画生育政策つまり人口抑制政策の実施状況と出生力及び死亡力の変動に左右されることになる。